うちのブランドって何?

リニューアルでのブランド要素戦略とは?

配信日:2025年5月21日

変え続けること、変えないこと、そのバランスをどう考えるか。ブランドや製品をリニューアルする時の大きな課題はここでしょうね。ブランドは、気付かぬうちに老けることがあります。製品は変わらず高品質、機能も十分。それなのに、なぜか選ばれなくなっていく。この現象は、ブランドそのものが社会や生活者との関係性の中で経年劣化を起こしている証拠です。

では、こうした劣化にどう向き合えばよいのでしょうか。答えはひとつではありません。大きく分けて「守り」のリニューアルと「攻め」のリニューアルという2つの選択肢があります。

守りのリニューアル

守りのリニューアルは、ブランドが時代の変化に取り残されそうなときに必要になります。たとえば、昔ながらの食品パッケージが「どこか古臭い」と感じられるようになったり、ロゴやカラーリングが今の感性に合わなくなったときが、そのサインです。

大切なのは、「変わった」と感じさせずに変えることです。スターバックスはこの「守りのリニューアル」の良い例でしょう。創業以来ロゴは何度もリニューアルされています。ロゴから「COFFEE」の文字を外し、よりシンプルで洗練されたデザインに進化させました。しかし、あのセイレーンのマークはそのまま残し、「変わらない安心感」も同時に提供しています。

守りのリニューアルでは、この変わらぬ印象をいかに維持しながら時代にフィットさせるかがポイントになります。

攻めのリニューアル

一方で、ブランドのリニューアルには“攻め”の選択肢もあります。それは、現状で問題がなくても、市場に刺激を与える目的でデザインを大きく変えたり、時にはブランドのポジションすら変えていく大胆な決断です。

しかし、このリニューアルは常に博打の側面を持ちます。たとえば、GAPはロゴを突然大きく変更しましたが、ファンの猛反発を受け、わずか6日で元のロゴに戻しました。市場がその変化を受け入れる準備が整っていなかったのです。

GAP

攻めのリニューアルを成功させるには、生活者の「無意識の期待値」を見極める洞察が欠かせません。それを読み違えれば、顧客はブランドから離反し始めます。

そもそもブランド要素とは、何のためにあるのか

ロゴ、カラー、フォント、パッケージデザイン、タグラインなど、これらは単なる飾りではありません。ブランド要素の本質的な役割は、顧客との関係性の鮮度を保ちながら、「変わっていない」という安心感を与え続けることです。この一見矛盾する2つの役割を両立するために、ブランド要素は「気付かれない程度に変え続ける」ことが求められます。具体的には、次のようなものです。

  • ロゴの曲線をわずかに柔らかくする
  • カラートーンを時代の感性に合わせて微調整する
  • パッケージの質感をトレンドに合わせてさりげなく刷新する

このような「細部のリファイン」が、ブランドが時代とともに生き続ける秘訣なのです。

ブランド要素リニューアルの具体的なコツ

1.ブランドの「らしさ」を言語化してから着手する
リニューアルを始める前に、「うちのブランドは何を大切にしてきたのか?」を改めて確認しましょう。たとえば、「信頼感」が軸なら、ロゴのシャープさやカラーは落ち着きのあるものにすべきです。逆に、「遊び心」が“らしさ”なら、あえて少しのズレや遊びをデザインに加えてもいいでしょう。いずれにしても「この変更は、私たちらしさを強めているか?」と必ず自問することが大事です。
2.まずは細部から手を入れる
一気にロゴやタグラインを変えるのではなく、視認性に関わるフォントのウェイト、余白の取り方、色の明度や彩度といった細部から調整していきましょう。これにより、大きな反発を生まずに現代的な印象を与えることができます。つまりリニューアルよりも穏やかな変化であるリファインを心がけるとよい。グーグルのロゴの変遷はこれを体現していますね。
3.変える場合は「なぜ今変えるのか」を社内外に説明できるように準備する
これは特に攻めのリニューアル時に重要です。社内の納得感を得ると同時に、場合によっては生活者に対しても「なぜ変えたのか」を語れるストーリーを準備しておきましょう。これがないと、GAPのように批判の的になるリスクが高まります。

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