
ブランドの脳内体験を使って新規顧客を摑む!
配信日:2025年4月30日
「買う前に、すでに脳内で使用体験している」。そんな感覚をつくり出せるブランドは、やっぱりトライアル(=新規顧客獲得)に強いと感じます。体験価値、ブランド体験の重要性は言うまでもないことですが、本当に差がつくのは、購入前にどれだけ「脳内で体験を起こせるか」です。体験を商品に付加するのではなく、体験を先に感じさせる。この発想こそが、いま求められているトライアル獲得の本質だと思います。
食品業界での事例
例えば、私たちが毎日、スーパーで選ぶ食品。鮮魚や野菜のように商品そのものを見せれば、美味しさが伝わるものもあります。しかしそうでもない食品もありますね。現実は売り場環境に左右されることも多い。
例えば、同じ鮮魚や野菜でも店内のライティングや並べ方によってはシズルが伝わりにくいこともあるし、逆にちょっとムラがあったり、カタチが整っていなかったりと、本物であるがゆえにいつも完璧にフォトジェニックとは限らないからです。リアルにはリアルなりの弱さもあるのです。
チーズの伸びは、典型的な脳内体験

ドミノピザの広告を見てみるとわかりやすいでしょう。とろけるチーズが勢いよく伸びるあのビジュアル。実際に届くピザはそこまでドラマチックではないこともありますが、人はすでに広告の中で「とろ〜りとした食感」を脳内体験しているから、食べたくなるのです。
感覚設計の視点を加える
ここから見えてくるのは、単なるリアルの提示ではなく、感覚設計という考え方です。商品のリアルを見せることは大事ですが、見せるだけで終わるのではなく、味、香り、温度、食感、気分など、見えない感覚をパッケージや広告を通して脳内に立ち上げる設計が必要なのです。
そして、これは食品に限った話ではありません。クルマなら、走り出した瞬間の爽快感。コスメなら、肌になじむなめらかさ。旅行なら、現地に着いたときの高揚感。ITサービスなら、ストレスのない操作感。
どれも「買う前から、脳内で体験させる」ことが勝負になっています。つまり、「事前に体験を起こす」ことができるかどうか。それが、これからのコミュニケーションに求められる力だと、私は思います。
スペックを並べるだけでは人は動かない。
機能性やスペックをいうだけでは価値は伝わらない。またきれいなキャッチコピーだけでも、心は動かない。一方で、未来に得られるであろう幸福感や満足感を、購買前にリアルに想像させる。それができたとき、人は自然に一歩、前に踏み出します。商品パッケージやトライアル獲得のコミュニケーションの役割は、これを使ったらこんな体験ができるのだと上手く伝えることですね。