
なぜ、いい商品が売れないのか?
配信日:2025年4月23日
「うちの商品はいいんです。でも、なかなか売れなくて」そんな相談を受けることがあります。素材にこだわり、手間をかけて開発し、丁寧にデザインして、機能もしっかりしている。それなのに、売上が伸びない。リピートされない。SNSでも話題にならない。
商品には自信がある。だからこそ、うまくいかない理由がわからない。その“モヤモヤ感”が、多くの経営者やマーケターの心の中にあるのではないでしょうか。
「いい商品が売れない理由」は、案外シンプル
それは、「商品の良さ」と、「伝えるべき価値」がズレているからです。つくり手が語る「こだわり」や「品質」や「機能」は、受け手が知りたいことと、必ずしも一致していません。
なぜなら、人は商品を機能で選ぶのではなく、「自分にとって意味があるか」で選んでいるからです。
「意味のある選択」をしたいという欲求

たとえば、私の話。あるショップで食器をみていました。職人が一点一点、丁寧に作った器です。素材も釉薬も、こだわり抜いた本物です。店頭では作家名や「土から生まれた自然の風合い」や「伝統的な技法」といった説明が並びますが、こちらの反応は「いいんだけど、ちょっと難しい」「素敵だけど、うちの料理にあうかな」という感じじゃないでしょうか。そうすると「値段もいいし、やめておこう」となる。
ところがある日、ある店員さんがこんな声をかけてきました。「私もそうですが、毎日のごはんに使ってもらうと、普段の食事がちょっとリッチになって、気分がいいですよ」
その言葉に、「あ、それなら欲しいかも」と思い、結局、購入してしまいました。つまり、「いい器」ではなく、「日々の中で、自分の生活に少しだけ満足できる体験”」を提案してくれた時に、私のこころは動いたのです。
「顧客にとっての意味」を翻訳してあげる
ここでいう「意味」とは、ただのメリットや機能価値ではありません。その人自身のストーリーに、商品がどう絡んでくるかを明らかにしてあげることです。言い換えれば、商品の機能や価値を「自分の選択に納得できる理由」へと翻訳すること。そうすると商品はモノとしての価値以上の意味をまといます。そして売上へとつながります。