消費者は企業のプロジェクトや製品開発に参加したがっている。

配信日:2021年12月1日

先週は一週間、夕刻からずっとクライアントさんとデプス・インタビューを実施していました。もちろんオンラインです。デプス・インタビューとは定性調査のひとつで消費者の深層心理を探るものです。1対1で対面する被験者に対してインタビュアーが本質的な質問、特に被験者が当然と思っていることに対して「何故、そう思うの?」を訊き出していきます。昔からある調査手法で、それ自体は珍しくもないのですが、今回のデプスでは初めて機縁法を使って被験者を集めることを行いました。機縁法とは「人と人の繋がりを通じて調査に協力してくれる人を集めるリクルーティング方法」です。というのも、今回の対象ブランドはマニアックな消費財で「エクストリーム系」とでもいうべきものだったからです。よって対象者も超ニッチな人たち。

機縁法は、例えば「不眠症に悩む人」や「アトピー性皮膚炎の子供を持つお母さん」「会社での人間関係ストレスが肌荒れにでる女性」など、調査会社のパネルに登録がなく探すことが困難な人たちや、一般のヒアリングではなかなか特定できない「センシティブな問題をもつ人たち」を集めるのに向きます。考えてみれば、5年ほど前にトラクター(農業機械)のブランド・プロジェクトを行った時、そのグループインタビューも機縁法でリクルーティングしました。対象者は「親子2代、3代でやっている農家さん」。さすがに調査会社のパネルには登録がなく、結局、営業担当者の顧客人脈を使って被験者を集めたものです。

当時はそのようなアナログ的アプローチでしたが、いまではこれもデジタルで集められます。いわゆるマッチングの技術を使うわけです。ただし被験者の身元や信用を担保するために、被験者自身が消費者パネルに登録することは出来ません。既に身元の知れている「知り合い(仲介者)」が被験者として相応しいひとに「調査に参加しないですか」と呼びかけ、「推薦」する形式をとります。更に面白いのは、被験者は調査の謝礼をもらわずに参加してくれることです。では何が彼らの報酬かというと、「企業のプロジェクトや製品開発に参加している実感や充実感」「企業担当者と共創している自己実現感」です。よって企業は調査の前提として企業名を明らかにする必要があります。そして調査が終わった後も、企業と被験者はチームとして継続的に意見交換しながら製品開発を進めていきます。当初、「本当にそんなことが報酬になるのか」と思いましたが、実際にインタビューをやってみると、すべての方の言葉の端々や表情に「やりがい」が垣間見られました。これも大きな発見でした。調査を調査で終わらせず、共創という文脈に調査を位置付けることで、より深くて「ビジネスライクでない」調査が可能になるようです。

調査の手法はデジタル化によって急速に過去のアプローチが一新されているようです。例えばコロナ禍での「人流データ」はGPS、位置情報システムを使って地域ごと、日ごと、時間ごとで割り出していました。これなどは典型的で、屋外広告(OOH)や量販店の商圏分析・エリア戦略で活用できます。デジタル化で市場調査のメニューも多様化しています。例えば「アイディエーション」と呼ばれる、新規事業アイデアや新製品アイデアを広く集めてその可能性や将来性を検討する調査も、デジタル技術で短時間に圧倒的な数を集めることが出来ます。(参考:イノベーション・プラットフォーム Collabor8)これは「消費者パネル」ではなく「プロフェッショナルなクリエイターのみ」が登録している、より進化した共創プラットフォームです。この「コラボ・エイト」というオーストラリアのプラットフォーム企業は2021年11月より僕たちとパートナー契約を結んで、同じく僕たちのパートナー企業、調査会社のクロス・マーケティングさんに全面的に協力を頂いてプロジェクトを提供しています。これもまた「世の中のデジタル化」がベースにあります。それによってマーケティングの業務はよりスピードアップすると同時に、手間のコスト、費用的なコストも大きく下がるのが実感できます。

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