新規事業立ち上げのコツ②
配信日:2023年3月1日
いま新規事業開発のプロジェクトを3つ、請け負っています。それぞれ業界もテーマも違いますが、僕自身はどれもワクワクしています。クライアントのプロジェクトチームの方々も同じように感じてくれていると思います。何がそんなに楽しいのだろうか。ふと、そんなことを考えてみました。その答えは「未来」「わからない」という要素を含むからだと思います。ここに「第一の楽しさ」があります。僕自身はこれまで何度もやってきた確立されたメソッドでチームを牽引しています。しかし扱う素材(テーマ)は毎回違います。もちろんチームメンバーにとっても「あたらしい素材」です。ここに楽しさやワクワク感の源泉があるように思います。
何も新規事業開発に限ったことではないようにも思います。例えば「今の生活」にも言えるのではないでしょうか。「未来」という「わからないもの」に対して期待や不安を抱く(=ワクワクする)のは同じかと思います。問題は期待と不安のどちらが強く出るかで快感にもなればストレスにもなるのでしょう。いずれにしても「いま」を楽しむために「わからない」という要素は意外と重要でポジティブなものかもしれません。ここに「人生を楽しむには日常に初めての要素を取り入れよ」という格言じみたものが出現するのでしょう。逆に失敗を恐れて走ることをやめた時、人生は色褪せるのでしょう。
新規事業開発プロジェクトはそれを企業として推進することに他なりません。更には「わからない」が解るようになると、もっと面白くなる。「第二の楽しさ」であり、同時に新規事業開発プロジェクトの醍醐味です。その点「未知の領域にあるインサイトを探る」のは外せないですね。そもそもこれがなければ新規事業は単なるビジネススキームや新製品という「モノを作る作業」で終わってしまいます。多くの新規事業が失敗する原因はインサイトがないまま技術志向や思い入れ志向で事業という「カタチづくり」にこだわることにあります。器はあっても中身はない。またはアイデアという魂を軽視して見た目や体裁にこだわった状態です。
未知なる領域のインサイトを探るスタディはテクニック的なものに加えて「実物を見ること」が大事だと確信しています。新規事業とはいうものの、完璧に全く新しいものなどそうそうなく、大抵はイノベーション前の「何か」があるものです。それを実物といいます。ただし未経験の実物です。そこで自分自身を「新しい領域の生活者」として実物に近づき、見て触れて感じること。実際に食べてみる、経験してみること。その時に感じる「新世界の美しさ」とでもいうべき発見が至福の時です。これが「第三の楽しさ」ですね。ここから新規事業のビジョンが生れることもあります。そして「もっと知りたい」と思うわけです。最終的にはこれがワクワクの正体でしょうね。
https://www.bmwin.co.jp/magazine/back_number/2022/20221221.html
(参考:新規事業立ち上げのコツ/2022年12月21日)