カテゴリー創造という発想

配信日:2023年9月20日

10月20日に日本能率協会さん主催の公開セミナーを行います。「新任ブランドマネージャー入門セミナー」です。今回はその内容をちょっとだけ紹介しましょう。差別化戦略で最もわかりやすいのは「新カテゴリーであること」だと言えます。仮によく似た製品であっても新カテゴリーと認知されることによって「違うもの」と認識されます。例えばビールは好例でしょう。それまで高級ビールといえば「プレミアム・ビール」と呼ばれるものが一般的でした。代表的なのはエビスやプレモル(ザ・プレミアムモルツ)でしょう。ここには書き出せませんが、いわゆる高価格のビールもこのセグメントに入ります。(プレミアムとは究極的には高く売れるもの、つまり高単価を意味します)。一方で、このセグメントに対して新カテゴリーとして差別化したのが、よなよなエールでありスプリングバレーです。これらのブランドは「クラフト・ビール」という新カテゴリー名を伴って導入されました。果たしてプレミアム・ビールとクラフト・ビール、その素材や作り方は違いにせよ、ビールとしての価値はそれほど違うでしょうか?しかしこれらは明らかにエビスやプレモルとは別のプレミアム・ビールとして認知されています。これが「新カテゴリーによる差別化」です。誰かがそれをクラフト・ビールと呼ぶから「クラフト・ビール」なのです。概念が先にあり認識や実態が後から付いてくるのが真実です。

新カテゴリーであることは新製品開発の基本命題だと思います。一方でブランドマネージャーは「より良いブランドを作ろう」とします。これは間違ってはいません。しかしそのようにして導入された新ブランドが短命に終わる、または認知されることなく市場から姿を消すのはなぜか。「より良い(better戦略)」ことは「これまでと違う(different戦略)」に劣るからです。顧客が興味を持つのは新ブランドではなく新カテゴリーなのです。仮にビールのように、製品としての新規性はそれほどなくても「これまでと違う」と認識されればOKなのです。ユニークであるとは「新カテゴリーである」と同義語だとも言えます。

もっとも新カテゴリーなら「なんでもOK」ではありません。仮に「四角いコンタクトレンズ」のような新カテゴリーがあっても、そんなものは誰も買わないでしょう。当たり前ですが、新カテゴリーの前提にはインサイトが存在しなければなりません。顧客の「不」を解消するより便利なアプローチを備えたものが新カテゴリーとして受け入れられる。ここが開発志向とマーケティング志向の違いだと思います。基本的にブランドマネージャーは製品の機能性や開発業務そのものに興味を持つ以上に顧客に興味を持ち、結果、それを新カテゴリーとしてパッケージングするのが得策です。日本能率協会さんの公開セミナーではこのような話をじっくり学んでいただき、短時間でブランドマネージャーのスキルアップを目指します。

『新任ブランドマネージャー入門セミナー』
ブランドマネージャーに必要な基礎知識を1日で習得!
JMA日本能率協会主催:公開セミナーのお知らせ
https://school.jma.or.jp/products/detail.php?product_id=152440

年別バックナンバー

資料請求・ご相談はこちら ▶

bmwin

 『事業・ブランドの見直し総点検』
ご相談、お問い合わせはこちらから▶