特に「バカ騒ぎ」はキーワードです。
配信日:2020年9月16日
キャリコン仲間からこんな本を紹介されました。『33の悩みと答えの深い森(ほぼ日刊イトイ新聞、構成・文:奥野武範/青幻舎)』。この本は「ほぼ日刊イトイ新聞」の読者から寄せられた「はたらく」に関する悩みや疑問に、本木雅弘さん、三浦瑠璃さん、蛭子能収さん、小泉今日子さん、糸井重里さんをはじめ、さまざまな分野の33人の著名人が回答したものです。2200円のやや高めの本ですが、面白い。価格以上の価値を感じる内容でした。「みんな、働くということ自体に迷い悩んでいる」。転職、リストラ、収入、パワハラや人間関係など、もちろんそういう悩みは尽きない。しかしこの本ではもっと根本的なところでの「はたらく悩み」が見られ、そういう意味では「質問が面白い本」でもありました。
僕が思うに、平時には、ひとは経済状況をどうするかとか、進路をどうするかなど具体的な悩みを抱えるけれど、いまのような「有事の時」「変化の時」「乱世」には「自分はどう生きるべきか」「自分が生れてきた理由は何か」そして究極的には「自分とは何か」など抽象的なレベルの悩みに向き合うようです。喩えるなら、平時は野球やサッカーのようにルールが決まっていて自分の役割もはっきりしている。なにより「足元は大地で動かない」。しかし有事はサーフィンにも似て、大きな波が覆いかぶさろうとしている。なにより「足元が動く」。そんな時こそ、「自分の軸」を意識的に取ろうとする感覚に似ているのではないでしょうか。自分に向き合う、哲学的だけれども、きっと成長のステップなのでしょう。変化の時代がくれた気づきのギフトのようにも思います。
一方で、ひとは「自分とは何か」を無意識のうちにずっと考えているようにも思います。人間にとって一番の興味は自分だと思う。例えば、あるブランドばかり買ってしまう傾向があるのも、「そのブランドが自分らしいから」です。顧客とブランドは合わせ鏡になっていて、自分を表現する手段としてそのブランドを選ぶのです。そういう意味では「自己実現の欲求」を満たすものでもあります。だからブランド戦略ではユーザーのペルソナを描き、それに沿ったイメージ戦略が展開されるのです。
パーソナル・ブランディングやキャリアコンサルティングでは、「自分とは何か」を「価値観」で定義することが多い。価値観とはカンタンに言うと「自分が大事に思っていること」です。「いきがい(raison d’etre)」でも良いかもしれない。僕なら「自由」「豊かさ」「バカ騒ぎ」が価値観であり僕自身です。特にバカ騒ぎはキーワードです。マーケティングって、世の中をあっと言わせてやろうとか、売上利益をもっと上げてやろうとか、バカ騒ぎ的なところ、ありませんか(笑)?そんなふうに自分の価値観に従った仕事をしていると毎日が楽しい。だから「自分の価値観を知る」は幸せでいられる仕事を選ぶ大前提です。いまのような変化の時は「これからもっと幸せに働いたらどうか」と言われているようです。そのために「自分とは何か」「どんな価値観を持っているか」を問うわけです。