ゴーン氏の逮捕について

配信日:2018年11月28日

先週はこの話題で持ちきりでした。メディア各社、SNSの投稿でいろいろ言われていますが、様々な事柄が明らかになるにつれて、これはゴーン氏の隠蔽や利益背反以上に、日産ブランドの行く末とフランス政府の世界の自動車業界における戦略のコンフリクトだとわかってきました。

マクロン大統領の思惑を想像するに、フランスの雇用を促進する以上に中国、米国、日本が支配する自動車業界で(https://www.globalnote.jp/post-11249.html)、彼は現在7位のフランスのシェアを一気に伸ばしたかったのでしょう。その方法として日産(および三菱自動車)を完全なフランス企業にする。いかにも銀行出身のマクロン氏らしい発想です。今年の9月あたりからゴーン氏はルノー・日産の企業統治のあり方についてフランス政府寄りになったのは、マクロン氏から大臣のポストを用意するといわれたからではないでしょうか。その後に事件が起きたけれど、ポスト・ゴーン氏の「日産のトップはルノーからフランス人が就く」というフランス側の方針もこれで説明がつきます。

一方、日産にしてみたら、我が社がフランス企業、ルノーになるなど、とんでもない話です。世界的な自動車業界再編のなか、自らのアイデンティティを考える機会は多かったはず。いま日産はフランス政府と身内であるゴーン氏によってフランス企業になろうとしているとすれば、そこからブランドや会社の従業員、家族をどう守るかという正常な危機意識が働くのは当然です。フランスのパイプラインを切ること。だからトップは日本人のなかから選びたいし、ルノーとの株保有についても更なる抵抗をしたいはずです。

それに日産はルノーの子会社ではあるものの、自動車会社としての実力は日産のほうが上です(2017年度の日産売上高11兆9,520億円、営業利益5,748億円。ルノーの売上高5兆5,415円、営業利益1,617億円)。もはや、ゴーン氏が来日したころの業績不振の日産ではなく、ルノーになる必要もなければ、ルノーの力すら必要なかったと思います。ルノーに搾取されているとすら考えたかもしれません。そこで今回のようにゴーン氏の不正を明らかにして会社を守ろうと考えた。ある意味、企業統治のひとつのハンドルの切り方とも言えます。あわれなエクスパトリエット(ゴーン氏)は、その捨て駒になったのでしょう。企業戦略の話としてはこういうことかと思います。

ゴーン氏の給料が高いかどうかは、正直どうでも良いのです。虚偽の記載をさせたとか組織ぐるみとか、企業の金を私物化したとかのモラルの問題も、もう世の中でいう通りだと思います。私たちにとって考えさせられる教訓は、「豊かさとは何か」ということです。

ゴーン氏は唸るほどの金を持ちながらも、とても貧しいひとに見えました。本当の豊かさとは「人に分け与えるものを持っている」ことだと思います。自分さえよければいいという考えや、誰かのために金を使うことがイヤな人、与えることが出来ない人は、どれほど金を持っていようと、結局、何も持っていないのと同じです。この事件は私たちに、金との付き合い方、豊かであることの生き方を問う意味も含んでいると思います。

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