ブランドの健康診断、ブランド・トラッキングとは?

配信日:2018年02月20日<

ブランドの棲み家は消費者のマインドであり、ブランディングとは消費者との関係性を新鮮なものに保つ活動に他なりません。それを良く分かっている企業は消費者にとっての意味性を新鮮な状態に保つ、または見直すことを心がけます。消費者に飽きられないよう、または驚きを与え続けられるよう、企業はブランド・マネジメントを行うのです。

アマゾンは創業当初、「インターネット書店」として成功しましたが、いまや「ウェブ・ストア」の代名詞です。書籍以外にも様々なものが買える。あまり説明はいらないでしょう。一方、書籍ビジネスでも「キンドル」の導入や、書籍に近いDVD販売の代替として「プライム・ビデオ」など新しいサービスを通じたバージョンアップを図っています。また商品のバージョンアップのみならず、例えばいつもの食材がなくなった時、同じものを届けてくれる「バーチャル・ダッシュ」など発注方法のバージョンアップにも熱心です。ある意味、アマゾンというブランドは従来の「宅配」の概念すら変革してきたと言えます。そして最近ではアメリカの「アマゾン・ゴー」のように有店舗販売も実験しています。このようにブランドの意味性を一か所に留めず、常に進化を志向し顧客との関係性を新鮮に保っているのです。

ブランド・カンパニーではブランドの現状診断として、年に1回、「ブランド・トラッキング」を実施します。一種の健康診断であり消費者マインドの変化を定量的に(かつ定期的・継続的に)追う調査です。まず「ブランドを知っている人がどれくらい増えたか・減ったか(ブランド認知)」に始まり「ブランドをどの程度、買いたいか(購入意向)」「ブランドをこの一年間に買ったかどうか(購入経験)」「今後もブランドを買いたいか(再購入意向)」などを聞きます。

ブランド・トラッキングのなかでも、ブランド・イメージの変遷を追うものを「イメージ・レーティング」といいます。例えば、「品質が良い」「信頼できる」「かっこいい」「安心・安全」など、いくつかのイメージ項目ごとにブランドがどの程度当てはまるかを聞きます。この時に主な競合ブランドについても同様に聞きます。そして自社ブランドは競合ブランドに対して「これこれのイメージ」が際立っているなどを相対的に検証します。イメージ・レーティングのよさは全体を折れ線グラフなどで示すことで、イメージという捉えどころのない概念を可視化できることです。そのようなイメージ・レーティングを時系列で比べた時に、私たちが「強み」「資産的イメージ」と思っているものが強化されているのかどうかを知ることが出来ます。

リブランディングを始める時に見るのもイメージ・レーティングです。あるトラクター・ブランドをリブランディングした時のことです。最初、競合他社に比べて「自分たちの強みがなんなのかよくわからない」というのが出発点でした。競合ブランドXは「乗り降りを含めた居住性」「走破性」「操作が簡単」などのイメージを持ち、別の競合ブランドYは「デザイン性が高い」「使い勝手が良い」などを独自なイメージとして持っていました。一体私たちの独自性とは何なのか?そこでイメージ・レーティングを試みました。そして「長持ちする」というイメージが最も突出していることを発見しました。これはトラクターというものがブランドである以上に「作業道具」として評価されていることを意味しました。大きな強みを見つけた気分でした。農家はもしそれが壊れたり、早々に使えなくなると仕事に支障をきたします。そのようなことが最も少ないブランドとしてリブランディングは進められました。

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