コンセプトを見直すタイミングとは?

配信日:2018年04月25日

コンセプトを見直すタイミングについて話しましょう。いくつかの「見直すサイン」があります。一つ目は「ブランドの老化」です。ブランドの顧客イメージが「年配者向け」になった時です。ブランドの年齢とそれを使う消費者の年齢は概ねリンクしています。かつては若かった顧客もやがて年を取ります。それでも昔から習慣のように使っているブランドであれば何年経ってもそれを使い続けるものです。もちろん消費者の全員が年配者というわけではありませんが、ブランドとはこうして老化していくものなのです。

二つ目は「差別化ポイントの摩耗」です。差別化ポイントだったものが当たり前、当然の価値になってしまった時です。または、もともと競合ブランドの二番煎じで出てきたようなブランドは最初からここが低く、要するにブランドの独自性を出すには差別化ポイントを再度、見直したほうが良い場合に出る傾向です。

三つ目は「カテゴリーそのものがコモディティ化」しつつあるケースです。これは価格の傾向が「安い」に傾きつつある時に起こっている現象です。特に競合ブランドが参入してきてレッド・オーシャンの様相を呈している時、カテゴリーの定義そのものを再度、やり直すことでブランドを立て直さなければならないこともあります。

これらの3つが同時に2つ以上見られることもありますし、一つだけ見直せばよいこともあります。いずれにしても、以上のような課題が出ている時は「コンセプトからもう一度見直せ」と消費者に言われていると考えてよいでしょう。

次に具体的にコンセプトのつくり方をお話しましょう。コンセプトは次の一文から成り立っています。(この一文を正式には「ポジショニング・ステートメント」と呼びます)

(ターゲット消費者)にとって、ブランドXは(差別化ポイント)を持つ(カテゴリー)である。なぜならば(理由)。

カッコで示される4つの要素、「ターゲット消費者」「差別化ポイント」「カテゴリー」「理由」を埋めることでコンセプトが完成します。例えば・・・

(走りを愛する人)にとって、BMWは(究極の走り)を楽しめる(ドイツ製スポーツカー)である。なぜならば(革新的な技術が活きているからである)。

まず「走りを愛する人」がターゲット消費者です。クルマを運転する人はたくさんいますが、その中でも「走りを愛する人」のみに好きになってもらえば良いと考えているのです。もちろん、その他の人が買ってくれても一向に構いませんが、BMWというブランドは基本的に「走りを愛する人」のために作られるのだと宣言しているわけです。そして「ドイツ製スポーツカー」という戦うべき土俵(カテゴリー)を決めます。ドイツ製スポーツカー以外にもスポーツカーはありますし、ドイツ車もあります。しかし「自分が一番有利に勝負できる土俵はここだ」と決めるわけです。その土俵において自分たちの強みを検討し「革新的な技術力」というものをピックアップした時に、「究極の走り」という提供価値(差別化ポイント)が担保されるのです。そしてこれが「走りを愛する人」にとって大きな魅力であり、ドイツ製スポーツカーという土俵においても武器になると見込んで、このようなコンセプトが出来上がっているのです。

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