あらためて、ブランディングとは何を何のためにやることか
配信日:2024年12月11日
大手企業であっても、「ブランディングが十分に機能していない」という現実を目の当たりにすることがあります。優れた技術や豊富な資金を持ちながら、顧客にとっての明確なベネフィットを訴求できていない。これは単にマーケティングの問題ではなく、企業全体が抱える課題です。
技術も資金もあるのに、選ばれない理由
「うちは技術で勝負している」「製品力が他社より優れている」こんな声をよく耳にします。もちろん、それ自体は素晴らしいことです。ただ、顧客の目線に立ってみると、その技術や製品の素晴らしさが「どう自分に役立つのか」が見えなければ、ただのスペックの一つでしかありません。
たとえば、ある大手メーカーの話です。その企業は業界トップクラスの研究開発力を持ちながら、売上は思うように伸びず、顧客の支持を得られていませんでした。原因を探ると、製品の特長を並べるばかりで、顧客に「この製品を選ぶとどんなメリットがあるのか」を訴求していなかったのです。
ブランディングが欠けるとどうなるのか?
もしブランディングが欠けていると、以下のような状況に陥る可能性があります。
- 1.顧客に選ばれない
- 競合との差別化が不十分で、「どこで買っても同じ」と思われてしまう。結果として、価格競争に巻き込まれる。
- 2.短期的な関係で終わる
- 「安いから」「近くにあったから」という理由で選ばれた顧客は、条件が変わればすぐに離れていきます。
- 3.社内の一体感が失われる
- 社員が「自分たちは何のために仕事をしているのか」を感じられなくなり、モチベーションが低下。部署間で連携が取れず、バラバラの方向に進むことも。
これらは大手企業にとっても決して無縁ではありません。
「顧客にどんなベネフィットを届けるのか?」を問い直す
ブランディングの本質は、顧客に「この会社を選ぶと、自分にこんな良いことがある」と感じてもらうことです。そのためには、企業として次のことを問い直す必要があります。
- 1.ベネフィットの定義
- 「私たちは顧客にどんな課題を解決し、どんな未来を提供するのか」を言語化する。
- 2.一貫したメッセージの発信
- 製品説明から広告、社員の行動に至るまで、同じベネフィットが伝わるようにする。
- 3.顧客視点で進化を続ける
- 市場や顧客のニーズは常に変化しています。定期的に見直し、進化させる姿勢が求められます。
ブランドは「選ばれる理由」をつくる
企業にとって、ブランディングは単なるマーケティング活動ではありません。それは、顧客との長期的な信頼関係を築くための基盤です。そして、その基盤がしっかりしていれば、価格競争に巻き込まれることなく、競合と明確に差別化されたポジションを確立できます。たとえば、顧客にとって「この企業と付き合えば、期待以上の価値が得られる」と感じられるなら、それが他社にはない圧倒的な優位性となります。
ブランディングとはベネフィットを磨くプロセス
「ブランディングは難しい」「考えすぎても仕方ない」と言われることもあります。でも、難しいからこそ、その価値は計り知れません。ブランディングは、顧客に届けるベネフィット(価値)を磨き上げるプロセスです。そして、その方向性が明確になれば、顧客から選ばれる理由が自然と生まれてくるのです。「ブランディングが機能しているか?」と聞かれたら、「顧客にこんなベネフィットを提供している」と即答できる企業でありたいものです。