ブランディングとマーケティングの違い

配信日:2024年10月23日

ブランド戦略を考えるとき、僕たちはよくブランディングとマーケティングという言葉を使いますが、この二つの違いを明確に理解している人は意外と少ないかもしれません。ブランディングは「ブランドを顧客のマインドに作ること」、マーケティングは「顧客に売ること」と簡単に捉えることもできますが、実はそれぞれの役割はもっと深く、かつ相互に補完し合うものです。いろいろな説明や解釈があると思いますので、僕なりにわかりやすく話しましょう。

たとえば、家を建てるプロセスに例えてみましょう。家の建築には、まずしっかりとした基礎工事が必要です。この基礎は、地盤を固め、家が長く安定して立ち続けるために欠かせないものです。これがブランディングにおける「コンセプト」に相当します。これが決まると企業が顧客に伝えたい価値やビジョン、アイデンティティをしっかりと築き上げ、どのような状況でもぶれない一貫性を持てるようになります。逆に、これがなければ、まるで公園のテントのようなもので、どんなに豪華な装飾や一時的な施策を施しても、ブランドは長続きしません。

基礎工事が終わったら、次は建物をたてます。これはコンセプトを魅力化するプロセスで、わかりやすく言うと、ネーミングを決め、ロゴマークを作り、製品パッケージを作り、そしてブランドメッセージを決めるのに相当します。つまり建物は「ブランド要素」に相当しますね。これが出来ると、ようやく人々が家具を運び込み、生活を始めることが出来ます。ブランドでいえば、ようやく市場とまみえることが可能になります。

そして、いよいよ人々の生活が始まります。その家での楽しい時間や素敵な想い出を作るプロセスです。顧客(住人)という概念とブランド(家)という概念が交差する段階です。言葉を替えれば「ブランド体験」を蓄積することに相当します。この段階では、ブランド価値を、具体的な形で外に表現していくことになります。ベネフィットを伝え続け、そのブランドが他とは違う特別なものだと認識してもらう。実は、このプロセスがマーケティングそのものです。マーケティングは、ブランドの価値を基にして、消費者に具体的な行動を促す活動です。セールスやプロモーション、広告キャンペーンといった短期的な施策を通じて、顧客に製品やサービスを選んでもらい購入を促します。

しかし、マーケティングの役割はこれだけではありません。マーケティングは、ブランドと顧客との関係を長期的に維持し、強化するための重要な役割も担っています。ここで重要になるのが「顧客ロイヤルティ」の醸成です。一度の購入で終わらず、顧客がブランドに対して継続的に信頼を寄せ、リピート購入や口コミなどを通じて他の人々にもそのブランドを広めるようになることが理想です。まるでその家の住人が友人を連れてくるようなイメージです。そのためには、消費者との接点ごとに一貫した価値を提供し、長期的にブランドメッセージを伝え続けることが必要です。このプロセスでは、広告やプロモーションだけでなく、カスタマーサポートやコミュニティ形成、パーソナライズされた体験の提供など、さまざまな手法が活用されます。

つまり、マーケティングとは短期的なセールスやプロモーションだけでなく、ブランド体験を豊かにし、顧客との長期的な関係を築き、ロイヤルティを高めていく機能でもあるのです。これが日常生活の中でブランド(家)が「生きる」瞬間です。この体験が豊かでポジティブであるほど、消費者の中でブランドへの愛着やロイヤルティが高まっていくのです。それを効率的に推し進めていくのがマーケティングです。

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