AIマーケターと人間マーケター

配信日:2018年09月05日

最近はAIがマーケティング業務を代替するようになってきています。日経新聞を読んでいるとそのような記事も多く、今後、マーケティングはAIの仕事になると思うこともあります。

アサヒビールがやっている取り組み。AIを使って量販店でビールの販売価格を指南。それによって3月の店頭実験ではビール全体の売上を6%アップさせることに成功。小売店のPOSデータに加え、天気や気温、商圏内で行われるイベントなどの情報を入力することで、効率よく売上をあげるにはどの時期にどんな価格で売ればよいかをAIがはじき出します。これなどはカテゴリーマネジメント、プロモーション業務をAIが代替している例です。かつて店頭データを集めて分析し施策に生かすというのは非常に手間のかかるものでした。それがいまではAIが代行してくれようとしている。今後、ディープラーニングの技術がもっと進めば、もっと手軽にもっと高い精度で成果を出していけるでしょう。

ターゲティング広告の市場規模も1兆円に届く勢いです。もうすぐテレビを抜くでしょう。過去に見たサイトや購買履歴を分析して、その消費者にあった広告を出す。それのみならず、位置情報を使い通勤途中や余暇の行動パターンを解析し、検索履歴などと組み合わせることで性別や趣味などを推測し、こころに刺さる広告を打ち出すのだとか(日経MJ/2018年9月3日)。これはいわゆるペルソナ戦略やメディア戦略をAIが代替しているもの。ペルソナもカスタマージャーニーもひとがやる以上は推測や憶測、時には希望的観測が入らざるを得ないものですが、テクノロジーを前提にしたものはやはり強い。

私のクライアントさんでも先日、AIの話をしました。今後、様々な情報をクラウドで管理していくにあたり、現時点で留意しておくべきことは何か。単なるデジタル・マーケティングや製品開発&リニューアル、またはアプリの開発に留まらず、いろいろな活用・用途が考えられます。その前提となるのは、やはりAIです。

分析力や実行レベルの高さにおいて、人間マーケターとAIマーケターではあまりにも歴然とした差を感じてしまいます。いまはプロモーションやマーケティングの計画実施が中心ですが、この流れを引き延ばして拡大解釈していくと経営計画の策定もAIが代替するかもしれません。そうなると人間経営者や人間マーケターの付加価値とは何か。もっともそうならないために(人間のポジションを守るために)、ひとの能力の70%程度をみたすAIしか活用しないと決めることもできるでしょう。

私が考えるに、人間マーケターの仕事は、おそらくゼロからイチを作り出す「スタートアップ」や、AIの活用を前提とした事業の再定義などではないかと思います。つまり「最初のお膳立て」をするのが私たちの仕事。もちろんAI自体を使いこなすことも仕事のうちですね。

人間経営者の仕事はもっと人間にフォーカスしたものになっていくように思います。ひとがやるべき職能の再定義、その他、組織経営にまつわる諸問題。おそらく昔からある問題です。古くて新しい未解決の課題が経営の現場にはまだまだある。そういうものにAIと一緒に取り組んでいくことが可能になるのではないでしょうか。

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