お客様目線で具体的なマーケティングをする方法
配信日:2018年08月01日
週末、飲料ブランドの仕事で渋谷のクラブに行きました。お酒の仕事をしている時もそうでしたが、やはり飲料関係の市場を見るのにクラブは適しています。11時半くらいにふらりと入店し2時ごろまで爆音を聴きながら過ごします。ドリンクカウンターで「どんなお客さんが、どんなものを買うか」「我がブランドはどんなひとに買われているか」を見ます。同様に店内を見て回れば、どんな飲まれ方をしているかも見えます。
これは顧客像、ペルソナを描くための仕事です。もっとも「週末に仕事でクラブに来ました」というのも味気ないですし、そもそも消費者と同じ気分でその空気を吸うことも大切です。これを「いたこ化」と呼んでいます。恐山のいたこに霊が憑依し、彼女たちの口を通じて語るように、あたかも消費者が自分に憑依してその気分やニーズをリアルに味わうのに似ています。マーケターはいたこの達人、または「なりきりの達人」であるべきです。
やはりペルソナが大切だとつくづく思います。これが明確でないとお客様目線での具体的なマーケティングが出来ません。なによりブランドの提供価値というのは、それを受け取る側によるのも事実です。それを価値と感じるひとを対象にアプローチしなければ、どんな価値も「豚に真珠」に他なりません。
ペルソナを描くとき、よく私がやるのはこの「販売と観察を通じたインサイト」です。調査費用などを充分に持つ会社であればインタビューも有効。しかしそれでもやはり「販売と観察」は担保しておきたいものです。
特にクラブのような現場(売り場)では、一度に多くの想定顧客が訪れるため、大変効率的に観察が進みます。「想像される年齢」「想像される職業」「想像されるライフスタイル」「想像される趣味・趣向」「想像される“なぜ自社ブランドを選ぶのか”」そんなものが実際の購買という行為を前提に見て取れます。
面白いのは単に顧客像を知ってペルソナを描くのみならず、コミュニケーションのアイデアもおのずと生まれてくることです。「こんなペルソナのひとならこのブランドがいくつか持つ良さのうちのこれが効くのではないか」とか「その時の広告コピーはこんなものが良いだろう」とか。そして次回、それを検証するためにPOPやポスターを作って、時にはデモ販のスタッフを投入してコミュニケーションを実施してみます。これが生きたテスト・マーケティングというものです。
今回はたまたまクラブの話にひっかけて紹介しましたが、これと同じことは別の業態でも有効です。事実、ここ数週間、同じ飲料ブランドの仕事で湘南の“海の家”にも出没することが多くなっています。ちょっとばかり若作りを気取ったおっさんぽいオチですみません。笑