繁盛の秘訣②/お金編
配信日:2019年11月13日
前回2019年11月6日配信の内容「繁盛の秘訣」はこちら
ビジネスの世界のルールは比較的シンプルで、「わたしも含めてみんなが良くなければならない」と考えるひとに富は集まるようです。逆に「自分さえよければいい」「おいしいとこ取りしたい」「お金を払いたくない・使いたくない」というひとからは富が逃げるようです。当然です。誰だってそういうひととは距離を置きたいと思うものだからです。
ある会社さんの話。マーケティング研修と実務的なOJTをしてくれないかと依頼があり、企画と見積もりを出し、何度かやりとりをしました。そして「ではこの内容でやりましょう」となった後、電話がかかってきました。「値段を下げてくれないでしょうか。他社では同じ内容で60%くらいの値段でやってくれると言っています」と。これまで何度もやりとりしてきて、最終的段階で40%も値切ろうとする、そのセンスに唖然としつつ僕は答えました。「そちらの会社でされたらどうですか?同じ内容で40%も安いなら、そのほうがトクです。そうしましょう、そうしましょう」。僕にしたら値下げする理由はないし、こういう会社とは仕事をしなくて正解です。お金に関する繁盛の法則に反するので、こんな会社はどうせ大して成功しない。熱心に仕事をしても徒労に終わるに決まっている。そんな会社と拘るよりも、僕にはもっと大事な仕事がある。そちらに時間と能力と情熱を使うべきだ。
世の中には業者を業者扱いする失礼な会社もあるものです。そういうひと(担当者)に限って、業者のことを悪く言う傾向があるようだ。例えば「対応が遅い」「頼んだのに出てこない」など。しかし肝心なことが分かっていない。その業者はわざと遅い対応や気に入らない見積もりを出しているのです。なぜなら「業者扱いするような担当者とは付き合いたくないから」。そんな担当者との仕事は楽しくないし、別にたいした売上にもならない。利益なんて望むべくもない。担当者にとっては業者かもしれないが、業者にとっては客ではないのです。だから「担当者から三行半(みくだりはん)を出させるために、わざとそういう対応をするわけです。向こうから断ってくれるなら、恨みも買わずに済む。
僕のパートナー会社にクロスマーケティングという調査会社があります。いま一緒に「未来を見通すリサーチ」をしています。従来の市場調査で未来を予測するのは精々、製品の販売可能性を調べるくらい。しかし、いまクロスマーケティングさんとやっているのは「いまの市場や業界にイノベーションを起こすアイデアや方向性、戦略仮説」を透視するリサーチです。方法は、僕がレップをしているeYeka(アイカ)というイノベーションのクラウドソーシングを使い、クロスマーケティングさんで分析、傾向を掴んでクライアントに提言します。実は、クロスマーケティングさんは、いまeYekaのフランス本社で「世界で一番、可能性を秘めているローカル・エージェント」と思われています。日本市場でeYekaを導入して、わずか数年でいくつもの高額受注をしているからです。
その御礼をしたいと思い、先日、クロスマーケティングさんの関係スタッフの方々を食事に誘いました。ワインがポンポン空いていき、それは楽しい時間でした。そしてお会計をしようとお店のひとを呼ぶと「もうお支払いは終わっています」と言われました。部長の遠藤さんを見ると、「これだけの人数ですから、さすがに水野さんに負担させられません」と言われました。こちらからお誘いしてご馳走するはずだったのに、やられた。しかしその時に確信しました。「この会社はもっと成功する」。もうお分かりのように、お金の繁盛の法則に合致しているからです。
僕がよく思うのは「お金を払える喜び」について、ひとはもっと気づくべきだということ。これは「自分は持っている」ということであり、「自分は豊かである」ことの証拠に他なりません。そしてもっと深いレベルで、ひとにありがたいと思ってもらい感謝されると、今度はそのひとがこちらの役に立ちたい、払ってあげたいと思うものだからです。
逆に「貰いっぱなし」は、ビジネスでは一番よくない。相手に対してよくないとか、非礼であるという意味ではなく、結局それは自分に戻ってくるものが少なくなる、つまり「自分にとってよくない」という意味です。そんなことを僕たちは、これまでの仕事人生を通じて薄々気づいています。