知的な無邪気さ

配信日:2017年05月16日

私たちが小さい頃から知ってきたことの一つに「経験こそが色々なことを教えてくれる」があります。経験を積むことで、私たちは進化し昨日までの自分とは違う自分を生きます。ブランドも同じです。いくつものキャンペーンを行うことで、そこから学び、そして精緻化させてゆく。これは真実であり、ブランド・マネージャーが日常的に行っていることです。

一方、「経験を積むまで新しい学びは得られないのか?」という意見もあります。すべてのブランドがあらゆる経験を通じてしか成長できないとしたら、あまりにも時間がかかり過ぎる。ましてやブランドを進化させるようなイノベーションは、本来、そのひとの経験則から外れた発想や視点が求められます。ここが悩ましいところなのです。

一体、ブレイクスルーと呼べるようなアイデアはどうやって生み出されるのでしょう?社内で議論するのはもちろん大事です。しかし議論のベース自体が「その会社での常識(経験則)」になっているがゆえに、ブレイクスルーと呼べるようなものはなかなか出ないのではないでしょうか。これも経験的に私たちが学んだことだと思います。

世の中でイノベーションと呼ばれるようなものは、多くの場合「業界外の新参者(インベーダー)」によってもたらされる傾向があります。コーヒー業界を一新したセブンイレブンのセブンカフェしかり。音楽業界や携帯電話業界を一新したアップルのiPhoneしかり。

新参者にあるのは「知的な無邪気さ」とでも言うべき経験則に属さない発想と視点です。業界の常識に浸っていないことが強みになるのです。そしてダイレクトに本質を捉えます。喩えるなら、その自動車がどんなカタチをしているかを車内に座って考えていても見えませんが、車外から眺めれば一目瞭然に見えてしまうようなものです。つまり本当のブレイクスルーとは「社外の目」によってもたらされるわけです。

それも「社外の目」がたった一人や二人の意見でなく、それが何十人、何百人という「才能ある人たちの目」だとしたら、どれほど凄いアイデアが出るでしょうか。そんな夢のような方法もいまではクラウドソーシングによって可能になっています。これをクラウドソーシング・リサーチと言います。これが今日的なオープンイノベーションの手法であり、今後のブランディングになくてはならないアプローチなのです。

オープンイノベーションをテーマにしている企業は、いま多いのです。特にAIやIoTによって自社のみではそのスピードに追い付けないとの危機感があります。よって、多くはR&Dの分野で産学協同や異業種とのコラボレーションを通じて社外の目を取り入れようとしますが、いまはデジタル技術を使うことでもっと効率的にやることが出来ます。

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