ビール会社の新価値創造プロジェクト

2009年のプロジェクトです。このクライアント企業では過去3年間、ヒット商品不在という事態にありました。その間に出した商品数は8つ。しかしどれも販売目標未達成が続いていました。開発力や販売力があるのにそれが十分に活かせず、社内は自信を失っているように感じました。そこで「部署に限らず、我こそはという人材を全社から募集しこれまでの開発をゼロベースで見直す。ヒット商品を出す」プロジェクトを行うことになりました。

様々な部署から開発未経験の16人が選ばれました。彼らメンバーは、営業、物流、製造などの仕事をしていましたがメーカーに入社した以上「いつかは開発をしたい」と、誰もが熱望していました。一方で、当時(2009年頃)は「社外コンサル」を活用する心理的なアレルギーがあったのも事実です。いまでは「自前主義」をよしとする風潮は減っていますが、当時は社外コンサルが参画するメリットをしっかり感じてもらう必要もありました。そこで事務局と毎回のセッションの準備を入念に行い、ウォーゲームセッション(競合の動きを先読みして先手を考える手法)を入れるなど、学びが多く、開発の楽しさを存分に味わってもらえるものにしました。そして何より、プロジェクトオーナーだった取締役執行役員が全面的にサポートしてくださいました。やがて他の役員や、時には社長もセッションに参加してくださるようになり、メンバーたちも一層プロジェクトに意義を感じるようになってくれました。こうして1年間のプロジェクトは順調に進行していきました。

プロジェクトはどのように進んだか?

プロジェクトでは16人を4人ずつ、4グループにわけ、グループ間で競い合うようにしました。マーケティング・カンパニーでキャリアを積むブランド・マネージャー同士の競争と同じスキームです。「どのチームが一番、魅力的な新製品を生み出せるか」「そして最高の売上を叩き出せるか」。そしてコンサルティング・セッションは次のステップで進みました(図-1)。

  1. ビール業界という競合関係がはっきりしている市場環境で自社の競争優位・イメージ上の差別化ポイントは何か
  2. 「ビール」「新ジャンル」「外食」で私たちの競争優位を顧客価値に転換できる可能性は何か
  3. 各チームがマーケティング計画を先に作り製品開発をマーケティング志向にする
  4. 新製品アイディエーションとコンセプト開発
  5. 社内および社外でのコンセプト受容性調査
  6. 研究所出身のメンバーが中心になり試作品の開発
  7. チームでのブランド要素(ネーミングやタグラインなど)開発
  8. 市場導入プログラムの計画
  • 自社の競争優位
  • 顧客インサイト
  • マーケティング計画策定
  • 新製品コンセプト
  • 受容性調査
  • 試作品(中味開発)
  • ネーミングやタグライン
  • 市場導入プログラム

図ー1:プロジェクトでの新製品開発ステップ

この過程ではグループ間の競争とは言いつつも、優劣を問わず、それぞれのアイデアの良いところを学び合うスタイルを貫きました。3カ月ごとの経営陣への報告もメンバー自身たちにプレゼンしてもらい、経営陣からも大いに期待され激励を頂き続けました。

そしてプロジェクトの成果である新製品が発売されました。幸い、大いに売れ当初の目標を達成することが出来ました。「あのプロジェクトは本当に思い出深いものです。社内の自信を取り戻すことが出来ました」。当時の事務局スタッフのマネージャーから頂いた言葉です。私たちにとっても、いまでも非常に思い出深いプロジェクトのひとつです。

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