ビジョンしか実現しない

配信日:2023年11月13日

今回は「ビジョン」の話をしましょう。先日、「企業ブランド戦略・経営入門(ミリオンパブリッシング)」の著者、西尾順さんと話していて興味深いことをおっしゃっていました。「経営者のビジョン、社長ならみんなもっていると思っていましたが意外と不鮮明で不明確でフワッとしていて「幼少期に描いていた経済的豊かさ=なんとなくの幸せや憧れ」でしかないことに、この15年間5000社の社長様とお話ししてきてビックリしました。特に、次世代リーダーが育てられない社長様にビジョン不足が顕著に表れる気がします(11月3日に拝聴)」。不鮮明で不明確でフワッとしたビジョン。これでも「ビジョンを持っているか」と訊かれれば、経営者はイエスとなりますが、実質的には持っていないのと同じなのでしょう。「ビジョンは解像度高く鮮明に持たなければならない」となります。形而上学的な話でいえば「それがビジネスでの成功や自己実現のエンジンを始動させる」。マネジメント的な話としては「従業員が全員、同じビジョンを共有し突き進んだときにN二乗の法則が働く。つまり1000人の従業員が同じビジョンを目指したら1000の二乗=100万人のチカラを得る」となります。これがビジョンの価値でしょう。

ある支援先企業の経営者の方はビジョンについてこう話しています。「ビジョンを実現させるといいますが、本当はビジョンしか実現しないのです」。名言だと思います。この支援先の社長さんは潜在意識的な意味で「ビジョンしか実現しない」とおっしゃっていたので、形而上学的な話とも符合します。経営的な解釈では、目的地がなければ成り行きに任せるか、さもなければ現状に留まるしかないとなる。喩えでは「行く先を告げずにタクシーに乗っても運転手はどうしていいかわからない」と言います。経営であれば「行く先を告げずに従業員を雇っても彼らはどうしていいかわからない」ということです。だからビジョンはやはり解像度高く、「あっちに進んでくれ」と従業員に言うのではなく、「ここの住所へ」のレベルで、時にはグーグルマップなど見せながら具体的に示さなければならないのです。

ビジョンを解像度高く鮮明に描くにはどうしたらよいか。これは個人の成功にとっても知りたいことでしょう。「年収をいつまでにどうやっていくらにする」などもそうかもしれません。しかし僕はもう少し簡単なやり方をしてきました。ヒントは「浪花恋しぐれ」の歌詞にあります。「芸のためなら女房も泣かす」という有名な出だしの演歌です。あの演歌のなかに「いつか中座の華になる」という一節があります。これはお浜の歌詞として出てきますが、あれがビジョンの描き方です。つまり「自分が望む大舞台に立っている情景をありありと想像する」ことです。僕であれば「何社もの大きな会社の役員会議室で役員の方々にプレゼンをしている私」を思い描いてきました。言葉で説明するのは難しいですが、僕の中では役員会議室の様子や出席者の顔ぶれ、なごやかな空気感や室温、プレゼンやディスカッションをしている様子なども鮮明に見えています。これは実現してきたし、いまもそのように実現し続けています。考えてみれば「これが僕のビジョンだ」と、冒頭の西尾さんの会話を通じて思い出しました。多くの人はそれを望まないから「望まない舞台」にしか立てないけれど、おそらく「ひとは誰でも自分が望む大舞台に立てる」。仕事でもプライベートでも、これからはこれを信条に生きてみてはどうでしょうか。

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