地域を支える農業。農ある暮らし。

配信日:2022年3月22日

最近は都内でも農産物の直売所が増えていて、スーパーマーケットとは違う楽しさが味わえます。大きいところでは青山の国連大学前で週末に開かれるファーマーズマーケット。農家の方など作り手さんが自家製のオーガニック野菜やくだもの、はちみつやスパイス、乳製品やお惣菜などサステイナブルな食材をとても手頃な価格で提供してくれます。このような大きいもの以外にも、小規模なもの、例えばコンビニの入り口を直売所にしたものや、「メルカート」とでも言いたくなるようなイタリア風のおしゃれな食料品店を兼ねたものなども増えています。温故知新。一見すると昔の八百屋に近いのだけれど、一種のリバース・イノベーション。大量販売・大量消費のスーパーマーケットに代わる「次の業態」はこういうものだろうと予感させます。

このような直売所は食の安心安全など以外にも、生活者の「農産物とのかかわり」の意識変化もあるように感じます。「お金を払って作業を手伝う、市民が支える農のカタチ(日経新聞3月19日)」という記事を興味深く読みました。「その農場は一見すると、よくある市民農園のようだった。だが運営の仕方や目指す事業の方向性は市民農園とは少し違う。この日、雑草取りをしていたのは農場のサポート会員のメンバー。1万円の年会費を払い、育苗や定植、収穫、堆肥作りなどの作業を手掛ける。会員の役割は作業を手伝うことにある。収穫物は農場が販売し、その売り上げとなる。会員は出荷や販売も手伝う(同3月19日)」。なぜ彼らは「労働」に年会費を払うかというと、「農ある暮らし」の再評価と「地場の農業・食糧自給を支える価値観」が答えです。これをコミュニティ・サポーテッド・アグリカルチャー(CSA)と言うらしい。

確かにサステイナビリティが言われる現代では、大量の燃料を使って遠い場所(海外や県外)から食糧を運んできて消費するスタイルそのものが問題視されるようになっています。同時にそれがもたらす地域の農業や食糧自給の空洞化も問題でしょう。それに最近では気候変動や国際情勢による食糧問題も気になります。それよりはもっと身近な取り組みとして地域の農業・農産物を支えてはどうか。これは安心安全のようなクオリティや価格の安さ以上に重視されつつある「社会的な価値観」かもしれません。

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