イノベーションを伴う新製品とは?

配信日:2022年1月26日

最近は動物性の食材を使わず、肉に近い味や食感を出す「代替肉」の開発が進んでいます。この背景には「牛のゲップ」など環境に及ぼす影響や、アニマルウェルフェアに代表される畜産への批判、また単純にヘルシーな食品を求める声などがあるようですね。スーパーで初めてソイミート(大豆原料の代替肉)を見た時は、ひき肉のようにポロポロして色も大豆を彷彿させる、いかにも代替肉という感じで、正直、「肉に比べて物足りないのだろうな」と思いました。それに何か病人向けのようにも感じたものです。しかし、そのうちにソイミートをハンバーグ状にしたパテが売られるようになり、「これなら焼くだけで使いやすい」と、試しに買って食べてみました。「意外と美味しい」「これなら肉と変らない」が正直な感想でした。そして「肉かどうか」よりも「時代を食べている」感覚が新しかった。

食品の世界は保守的だと言われるけれど、確実に「時代が変わってきている」のを感じます。代替肉は一つのプロダクト・イノベーションだと言えそうです。世の中に新製品はたくさんありますが、イノベーションと呼べるようなものはなかなかありません。おそらく、そう呼ぶにふさわしい条件は「それによって人々の生活に大きな変化を与えられるかどうか」でしょう。ちょっと便利になるレベルではなく、生活意識や習慣まで変えてしまうような新製品であれば、それは真にイノヴァティブな新製品だと言えます。つまり既存製品を駆逐してしまうようなラディカル・イノベーションです。時代が変わっていくからそういう製品が出てくるのか、そういう製品が時代を変えていくのか。答えは「両方あり得る」と思います。企業が出来るのはプロダクト・イノベーション。つまり新カテゴリー創造、または既存カテゴリーの再発明。それによってパラダイム・シフトを起こしていくことです。この「パラダイム・シフト」もキーワードだと思います。

いずれにしても、代替肉は意外とイノベーション・レベルが高いかもしれないなと思います。開発当初はおそらくそんな大層なことを考えて作ったわけではなかったと思います。精々、「病人向け」「ビーガンやベジタリアン向け」くらいだったのではないか。しかし今のようなCO2の問題、畜産に対する批判、そして高齢化や健康志向によってパラダイム・シフトが起こりつつあり、近い将来、肉に取って替わるかもしれません。こちらはパラダイム・シフトが先行したプロダクト・イノベーションだと言えそうです。

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