緊急事態宣言から一年

配信日:2021年4月7日

4月7日で第一回目の緊急事態宣言から1年になります。その時の東京の感染者数は87人。覚えていますか?いま思うと「少ないね」と感じます。第二回目の緊急事態宣言は2021年1月7日。その時の東京の感染者数は2447人。実に一回目の28倍になります。そして4月5日時点は249人。いまでは東京より大阪のほうが多くなっています。この1年、コロナ関連が報道されない日はなく、世間もだいぶ慣れてきました。恐怖心が薄れる一方で日々のニュースへの関心も薄れているように思います。ある意味、ニューノーマルがノーマルになった感があります。

「虫の目」「鳥の目」という言葉があります。虫の目は足元の細かい情報にフォーカスすることとでも言いましょうか、コロナで言えば「今日の感染者数」などがそうです。一方、鳥の目は上空から俯瞰する感覚で、例えば「緊急事態宣言から1年経って何がわかったか」などがそうでしょう。日々のニュースを見て情勢を知るのは大事ですが、大局的な視点からいまを判断し意思決定するのはもっと重要だと思います。そこで僕も「鳥の目」をやってみました。

話をわかりやすくするために「東京都の感染者数」を2020年1月から2021年4月4日まで日別に並べ、便宜的に「渋谷駅周辺の外出者数」を同期間で比べてみました。総論的には「人出と感染者数は因果関係にある」と言えますが、問題は「どの程度の人出(x)だと、感染者(y)はどの程度増えるか」です。第一回目の緊急事態宣言の時、1日に約16万人いた人出は6万人まで減りました(約60%減)。その結果、感染者数は87人だったのが9人まで減りました(約90%減)。これで抑え込みに成功したと判断した。しかし解除後、人出は6万人から12万人まで増えます(200%増)。すると第二波が7月9日(前日の74人が224人に増加)から始まり、8月1日には472人まで増えました(解除時から5200%)。人出は12万から13万人と微増(10%増)でしたが、第三波がはじまり感染者は2500人まで増えました(530%)。その後、緊急事態宣言中に人出は10万人まで下がります(20%減)。そして3月22日の解除時での感染者は187人(92%減)となりました。ここから言えることは何か?「人出をちょっと減らすと感染者は大きく減る」「人出をちょっと増やすと感染者は大きく増える」、つまりU字型の二次関数(y=xの二乗)でしょうか。

いくつかの施策、例えばGo Toキャンペーンの動きも並べてみました。するとGo Toトラベルは7月22日に始まり(東京は10月1日より)、12月28日に中断。Go Toイートは9月下旬から開始して11月24日に中断。いま思うとトラベルは第二波の真っただ中、イートは第二波の終盤に始められ、どちらも第三波の入り口まで続けられたのがわかります。これを二次関数を下敷きにしてみれば、想像を絶する第三波に繋がったことも理解できる。一方、少数のグループを一網打尽にする「クラスター」の対応は二次関数から察しても効果的だと言えます。この一年で東京都は641件のクラスター処理をしています。本当はこれを時系列で並べて同じように感染者数と比べてみたかったのですが、残念ながら日別データはありませんでした。しかし人数が少ない段階でクラスターを早期に潰すのは合理的な戦略だと、あらためて思います。

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