違える(たがえる)就活

配信日:2021年3月17日

久しぶりに息子から電話をもらいました。就活が本格的に始まり少々、疲れ気味でした。「何にそんな疲れているの?」と聞くと「エントリーシートに追われている」と。「最近、本を読んだか?」「いや、読めない」。なぜならエントリーシートに追われているから(笑)。まあ、そんな時期もあるでしょうね。ところで、最近では新卒から年収1000万円を出すような会社もあるようで「本当に大丈夫なの?」と思ってしまいます。主にAI関係の仕事らしい。幸いにうちの息子とは全く縁のない世界で良かったと思っています。初任給から1000万円もらって、その子は入社してから物凄く働きづらくないかと心配になります。「これだけ払っているのだから、もっと成果を出せ」と、まだまだ子供の新入社員に最初から過度なディマンディングをしたりしないか。それまで通りの給与体系で働いている先輩社員からの嫉妬やいじめはないか。メンタルをやられないか心配です。1000万円も払ってくれるのは有難いけど、どこまで続くことやら。新入社員にも会社にもあまり良い結果にならないのではないか。

学生によってはインターンで認められて入社というケースもありますが、多くは採用プロセスがシステム化していて、どの学生も同じような質問や課題をこなして内定を手にするようですね。「ユニークな学生を採りたい」という会社は多いですが、本当にそれで面白い人材を採れるのだろうか。効率重視の採用は人事にとっては便利だけれど、世の中の前提条件が変わる中、今後は見直されていくでしょう。学生の側も同様で、いまのシステムで本当に自分というものを表現し「売り込む」ことが出来るのだろうか。学生は「違える(たがえる)」ということをもっと意識してはどうかと思います。他の学生と同じことをやっていては、結局、エントリーシートをばらまく「確率論」にならざるを得ない。なにより「違える」をこころがけて就活を始めた時、本当の意味でのキャリアが始まると思います。つまり人生が本当に始まる。人間関係も同様で、同じように「違える友人や仲間」が出来るでしょう。これが人生の精彩を増す。

違えるは、ただし良いことばかりではありません。僕がそうでした。就活の時、僕は「面接キット」なるものを持ち歩いていました。一冊のファイルで、「どんな勉強をしたか」「どんな活動をしたか」「どんな仕事をしたか」「どんな結果だったか」などをわかりやすく説明する「僕のパンフレット」です。当時、こういう就活をする学生はあまりいなかったのではないかと思います。僕なりに「違える」を意識した活動でした。しかしこれは諸刃の剣でした。非常に好感を持たれることもあれば、「素直で従順な学生を採りたい」と考える会社には嫌われました。正直、面接キットのおかげで就活は苦戦しました(笑)。バブルが弾けたばかりで、十分な売り手市場だったのに7月20日の夏休みになっても内定はありませんでした。しかし僕にとってはそれがよかったと、いまでは思います。いろいろな会社の本音を感じられましたし、何より、面接キットを作ることで僕自身の棚卸(自己理解)をすることが出来ました。そして最終的には内定をもらうことも出来ました。

子供にこんな話をしたらどう反応するだろう。実はしないつもりです。子供には子供の就活があり、彼なりに何かを見つけると思っています。

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