自粛警察について思うこと
配信日:2020年5月27日
営業する店のシャッターに貼り紙をして脅したり、県外ナンバーの車に嫌がらせをする自粛警察。やっている本人たちは「社会のため、街のため、私のため」かもしれないけれど、僕はまるで監視社会になったようで怖い。ましてや貼り紙をされた店主などはもっと怖かったでしょうね。身の危険を感じ、血の気が引いたと思います。それにしてもわざわざ貼り紙をするような人は、他人の不真面目さが許せないクソ真面目な人たちなのだろうと思う。本当は不真面目で店を開けているわけではないのだが、「自分はちゃんとやっているのに、なんであなたは店を開けているんだ」という怒りがあるのではないかな。何人かは、意外にも同業者かもしれない。
僕が店主の立場だとして恐怖を感じるのは、貼り紙をした人間の顔が見えないことです。卑怯だと思う。2ちゃんの書き込みみたいなもので、個人を特定されなければ何をしても良いというのは下劣な考えだと思います。昔、出版した本について、アマゾンの書評でいろいろと書かれたことを思い出しました。好評のコメントならまだしも、星一つとかの評価に好き勝手なことを書かれると、正直、僕でもへこみます。その時に思ったのが「あなた、誰なの?」。フィードバックは有難いけれど、正体もわからない相手からの、こちらの心を傷つけるような中傷、ネガティブな言葉にはうんざりでした。「そこまで言うなら、あなたも本を書いてごらん」「さもなきゃ、ちゃんと本名を明らかにして堂々と来い」。
在宅時間が増えて、SNSを見る機会も増えているようですね。僕は逆にSNSの整理をする機会が増えました。どこから流れてきたのかわからないようなフェイクニュースが増え、時には知る必要のないネガティブな情報も増え、正直、疲れ気味でした。そういうフィードは外すようにしました。一方、良かったのは、随分と自分自身の情報リテラシーも高まったのではないかと思います。役に立つ情報として、例えば「コロナ支援・訳あり商品情報グループ」というのがあります。コロナで飲食店が営業できない状況下、そこに食材を卸していた生産者や業者さんたちの商品を一般の消費者に買ってもらうためのFBグループです。僕たち消費者はレストラン向けの高級食材を半値などで買うことができ、同時にこれらの業者さんのお役にも立てるというものです。アップされた文章から推察するに、業者さんは本当に真剣で、ここにはフェイク情報はないように感じます。結果、わずかな期間に36万3000人もの一般消費者がフォローしています。
いずれにしても、世の中にはいろいろな事情がある。それを「自分」というフィルターを通して見ているわけで、僕も時には他人の欠点が気になることもあります。人の欠点が気になるうちは、「僕もまだまだ器が小さいな」と苦笑します。僕自身が自由にやっている分、人の自由も認めようと思います。「他人の短所が見えなくなったら相当の人物。長所ばかりが見えてきたら大人物」という言葉もある。僕も少しでも器を拡げられたらと願っています。