アフター・コロナのマネジメント②/事業
配信日:2020年3月5日
生活者の意識や行動が変わっていくと、いまの事業を見直す必要も出てきます。特に対面や接客を必要とする業種、例えば飲食、介護、病院、タクシー、百貨店やショッピングモール、イベント業界などの事業構造の転換は明白でしょう。これらは今回のコロナで危ぶまれている業界です。百貨店やショッピングモールなど小売りはコロナ以前から事業構造の転換を迫られているので、これまでやっていること(通販事業など)を引き続き強化することが考えられます。介護など、どうしても人が介在する仕事は難しい問題かもしれません。おそらくそれまでの介護事業は改善レベルに留め、介護以外の新規事業を構想することが求められると思います。飲食なども「接客なしでどうするのか」と考えるでしょう。こちらもレストラン業態はできるだけ改善しつつ、一方でテイクアウトやデリバリー、ケータリング事業を立ち上げるなど新規事業を立ち上げポートフォリオを拡げることが考えられます。
イベント業界では2月29日に東京ガールズコレクションが「無観客」でオンライン開催。そして見事に成功した事例があります。観客のいない会場でランウェイをモデルが歩く。それを観客はスマホで見ながら、モデルが着ている気に入ったファッションをその場で購入する。デジタル化(DX)の素晴らしい成功事例です。今回のコロナを受けて、イベント業界以外でも様々な会社が本腰を入れてデジタル化していくでしょうね。これは先程の介護や飲食でも同じです。人を介さずに出来る仕事はもっとデジタル化すれば良いと思います。
ついこの前まで、中国や韓国からのインバウンド客で潤っていた業界、観光、旅行、ホテル、交通などは本当に頭が痛い。しかもインバウンド需要は今後もさらに伸びると確信していただけに、突然の環境激変に何の準備もできてないところも多いのではないでしょうか。北海道のあるホテルが半額にして集客を図っているようですが、回復するにはもう少し時間がかかるでしょうね。長い目で見れば、インバウンド客が求める商品は「日本」ですから、商品価値がなくなったわけではなく、時間が解決するのを待つしかないと思います。
製造業でも中国に生産拠点を持ちサプライチェーンとして関係していた企業は、今後、どうするのだろうか。コロナが収まれば、また以前の活動に戻るだろうけれど、将来のリスク分散が必要だろうという議論はあるに違いありません。単純な新規事業の立ち上げなどよりも投資が必要な案件なので、経営の重要な課題になるでしょう。
こうして見てみると、コロナは一種の黒船だったように思います。黒船をきっかけに日本が開国したように、コロナによって次の時代が始まりつつあると感じます。この状況でおそらく企業は3つに分類されます。「変化を知っていながらも対処しない企業」「変化に対処(React)する企業」そして「変化を利用し新しい提案を行う(Create)企業」。最初の企業は明らかに衰退するでしょう。2つ目の企業は対処のスピードが問題で、スピードが遅いなら1つ目の企業と同じです。そして3つ目の企業は今後の有望株になれる。どうせ未来を描くなら3つ目の矜持を持って取り組みたいものです。