デジタル・トランスフォーメーション

配信日:2019年12月11日

先日の味の素が発表した「50代の管理職100人を早期退職させる」はショッキングなニュースだったかもしれません。僕が思うに、おそらく組織のデジタル・トランスフォーメーションの一環です。会社として業務のデジタル化を図っている。その証拠に同じ時期にアクセンチュアとの共同出資でAIに業務を担当させる新会社の設立も発表しています。それにしても、僕も同じ50代として、ましてや味の素グループにいた身として他人事に思えませんでした。

一般的に言って、日本企業に勤める50代はこれまで、「自分のキャリアについて考える」必要がなかったのです。なぜなら、会社がそれなりのセカンドキャリアを考えてきてくれたから。セカンドキャリアだけでなく生活もそうでした。住むところから何から、例えばいま問題になっている年金だって、ちゃんと理解しないまま今日まで生きてきている可能性が高い。しかし国の政策や企業の雇用環境は僕らの世代にも「自由と自己責任」「自力で自立し生活していく」ことを求めています。

味の素で早期退職の勧告を受けた人はどう考えるかわかりませんが、僕はこういう発表をすることもあの会社の親心だと思います。わざわざニュース・リリースし「ウチでしっかり鍛えられたベテラン管理職がおたくの採用面接を受けに行くかもしれませんが、その時はどうぞよろしくお願いします」と社会に発信してくれているようなものです。事実、こういうニュースが無いと、面接を申し込まれる企業側も「なんで味の素を辞めてウチに?」と考えるかもしれないし、逆にニュースで事前に知っていれば、「退職勧告でかわいそうに」と面接も好意的に進むかもしれない。そう考えれば、あまり自社やデジタル化を恨まなくても済むというものです。

デジタル・トランスフォーメーションはいろいろな分野で起こっていて、今後もそのたびに人員整理の話が出てくるのでしょうね。例えばスーパーの無人レジ。なかでもユニクロの無人レジは複数の商品をどさっとボックスのなかに置くだけですべての商品のスキャンが瞬間完了するという優れモノで、一体どうなっているのかなと思います。普通の会社にも似たようなことはあります。ついさっきもクライアントさんを訪れた際、いつもは受付に女性が3人ほどいたのが、今日みたらQRコードをかざせば入室できるようになっていました。あの人たちは何処に行ったのかな。ちなみにその隣の会社の受付には以前のまま女性が4人いて、行列を作っているのは受付のいる会社でした。象徴的なシーンです。

こうなっていくと、デジタル化と仕事は、いまは自分と関係のない変化のように見えても、実はそうでもないようです。その際、環境のほうが先に変り、その後に自分が続くというのは分が悪い。環境が変わっていくのはハッキリしているのだから、それを見据えて自分から変わっていく勇気がいるかもしれない。これは僕自身に対しても言っているのです。正直、「自分のフロンティアを拡げる」をスローガンに、いろいろなチャレンジをしている最中です。

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