転機について
配信日:2019年10月2日
晴耕雨読という言葉が好きです。人生には波があり、何をやってもうまくいく時(晴れている時)もあれば、そうじゃない時もある。畑に出て一生懸命に働く時と、部屋にいて自己投資をしながら将来に備える時を理解し対処する。ひとつの人生戦略だと思います。
晴れている時は良いのです。だいたい何をやってもうまくいくし成果が出る。問題は雨の時です。頑張っているのに成果が出ず、むしろ空回りをしているような徒労感に襲われる。または自信をなくし、自分に疑心暗鬼になる。時には絶望的な気分になることもある。正直、苦悩のなかにいる状況です。
こんな時って、どうしたら良いのでしょうか。そんな時に僕の中で浮かぶ言葉が「晴耕雨読」です。僕の中にはイメージがあって、まるで梅雨時のようにしとしと降る雨を、昔、住んでいた田舎の家の縁側から眺め、ごろりと寝転がって本を読んでいるシーンです。その時、僕は「なに、こんな日もあるさ」という気分でページをめくっています。しかし頭の中では「さて、今後、どうやって一皮剥けてやろうか」と策を練っています。笑
僕もそうですが人は悩みがないと、なかなか学ばないので、雨が降っている時はまさしく「自分に向き合う時」「将来を思い描き、策を練る時」「一皮剥けた自分に必要なスキルや力を蓄える時」だと思うのです。そうやって晴れに備えるわけです。
「転機」という言い方をしても良いかもしれません。人生の転機。一般的には結婚や出産、転職や昇進・昇格など「イベント」と呼ばれるものと、例えば「昇進すると思っていたのにそうならなかった」など、予期したことが起こらなかったことも転機と言えます(ノン・イベント)。これらはわかりやすい転機なのですが、僕の理解では「晴れと雨」もまた転機です。(天気ではありません。一応)
転機にはいくつかのサインがあるようです。例えば、定年や退職など「人生での役割がなくなったり変化したりする」、家族や友人など「大事な人との関係がなくなったり変化したりする」、転職や独立のように「日常生活におけるモノゴトをいつ、どのように行うかがなくなったり変化したりする」など。そして、それによって「自分の考え方が変わること。影響を受けること」。これが転機の本質だと思うのです。
転機を活かすのに大事なのは「自分の考えが変わること」ではないかと考えています。むしろ、積極的に自分から考え方を変えていくチャンスと捉えてはどうでしょう。これまでの考え方や生活パターンは、もう卒業。これからは「新しい自分」をインストールする。そしてそれに相応しいスキルや力を蓄える。こんなふうに考えると、雨もまた価値のある時間になるのではないでしょうか。