シニアの仕事とは?

配信日:2018年07月02日

人生100年の時代と言われるなかで、「自分は定年退職後(または再雇用終了後)、どのような仕事をするのだろうか」と思案される方が多いかと思います。先日、20年来の旧友と品川のやきとり屋でビールを飲みながら話をしました。一通りの近況報告をした後、話はやはりこのような流れになりました。友人は現在、52歳。私よりも2つ上です。今まさに有名企業の一員としてバリバリと活躍していますが、そのような実績のある友人でも、この退職後のテーマは大事なものです。私はたまたま独立して仕事をしているので、フリーランスとしてやっていくための相談を持ち掛けてくれました。

私が思うに、「シニアの仕事」とは「どのような仕事をするか」の前に「私が必要とされることは何か」という問いが隠されているように思います。たいていは「自分は何をしたいか」「何ができるか」で発想するものですが、本当は「私が必要とされることは何か」から考えるほうが見つけやすいのです。

「必要とされること」。ここにはシニアの「孤独」の問題も絡んでいるのではないでしょうか。現役の時は部下をたくさん持って働いていたのに、仕事を辞めた途端にやることがなくなる。つまり必要とされなくなる。これが孤独です。これはシニアに限らず、独立開業の経験があるひとなら、おそらく全員が味わっている不安・ストレスです。そのような不安やストレスを前に、将来を案じながら細々と仕事をしていくと、やがて助けてくれるひとが必ず現れる。そうやって私たちはひとの有難さをしみじみと感じ、感謝することを覚えるのです。

さて、「必要とされる」について。私の考えでは若い人にとって「シニアの知恵・経験・人脈」は価値があると思います。いわゆるメンター業。社内メンターでもいいし、社外の縁のあるひとを導く仕事でもよいと思います。私の目からは、「誰であれ定年まで勤めあげたような人は後輩や若い人たちに教えることがあるはず」なのです。サラリーマンとして出世したひとはなおさら、そうでない人も立派に勤め上げたこと自体、価値ある経験です。成功も失敗もどちらも人に語れる価値ある話です。

このブランディング・ブログを読んでくださっている、ある方は、時々ブログの内容にコメントをくださいます。ある時、近況をご連絡いただいたおり、「私は今後、社内の後輩に昭和の営業をしっかり伝えていきます」とおっしゃっていました。おもわずご本人の笑い声が聞こえてくるようなエネルギーに溢れていました。ご自身が駆け抜けてきた「昭和の営業」。しかしここには文字通りの意味以上のことがあります。(ご本人の年齢的には、本当は「平成の営業」ですが、ご本人の言葉通りに掲載しています)

おそらく「昭和の営業」には現代の営業やネットの営業にはない「アナログな対人ビジネスの本質」が色濃くあり、いまのような希薄な人間関係が蔓延するなかにあって、若い人たちが「リアルな対人スキル」を学ぶだけの価値があります。本当の対人関係を築く方法を知りたいと考える若い人も多いものです。ここに必要とされる発想が見られます。平成もそろそろ終わろうとしている時代にあって昭和の営業というと、随分古めかしい印象を持ちますが、本質的な意味はこちらにあります。ものの見方を少し変えるだけで自分の価値に気づける好例ではないでしょうか。

さて、冒頭の友人と話していたのは「ひととひとを繋ぎ教える仕事」。これまでもこれからも越境人材(H型人材)としての経験が活かせそうです。そして「独立すること」。フリーランスとしての将来を描き、準備することです。それが友人のキャリアには一番しっくりくるし、当然、「必要とされる分野」もよくわかっているからです。定年退職までまだ8年あります。いまから準備すれば、60歳の時点で自分のビジネスを軌道に乗せられます。新しいことを学ぶこともできるし、その仕事で実績を作ることもできる。もちろん会社法人を立ち上げることも可能です。そのように考えると、なにより「時間」そのものが経営資源なのです。定年前に慌てるのではなく、いまから入念な準備をして行動に移す。「時間をかける戦略」がお勧めです。

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