環境変化が激しいと自分を見つめなおすのではないか

配信日:2016年11月21日

今年もあっという間に12月になろうとしています。今年の正月には「とても良い穏やかな一年になるのではないか」と、このメルマガでも書きましたが、実際は「世の中が大きく動いた一年」だったようです。

先日のトランプ氏大統領選勝利しかり、UKのEU離脱しかり。日本でも舛添氏の問題を皮切りに小池旋風があり豊洲問題やオリンピック関連の問題があり・・・。想定外や想像を超えるというのがキーワードのようでした。同時に東アジアの近隣諸国やイスラム国など世界情勢のなかでの日本のあり方も問われる一年でした。もちろん、芸能関係のスキャンダルなどもありますが、まあそれは私にとってはどうでもよいこと。

まるで今年の環境変化はサーフィンのようで、足元(前提条件)がめまぐるしく変わるような感覚がありました。サッカーや野球のように「少なくとも地面は動かない」という前提でのゲームではなく、地面(足元)そのものが変化するゲーム。もっともそれらが実際に私の日常や仕事に影響したかと言えばそうではありません。しかし、自分のあり方の確認や座標を確認するきっかけにはなりました。つまり今年は「自分自身や日本人について考える」ことが多かったように思います。

「菊と刀(ルース・ベネディクト著/光文社古典新訳文庫)」を読みました。第二次大戦中、米国情報局の依頼を受けて、文化人類学者ベネディクトが日本人の気質や行動を研究した一冊です。内容は詳しくは述べませんので読んでみてください。時代はちょっと古いですが、いまでも売れている外国人の目から見た日本人論です。興味深いのは戦争を早期に終わらせるため、価値観の違う日本人の思考パターンや価値観を実際的な問題と米軍が捉え、専門家に研究させていることです。アメリカ人にとって早々に降伏しない日本人は理解しがたいものだったのです。

これなどはいまの東アジア情勢にそのまま当てはまるように思いました。アメリカ人が日本人を不可解な民族と捉えてその価値観や生態を把握しようとしたように、私たちも問題を抱える近隣諸国の研究をもっとやってみてはどうか。日本人的価値観、または私たちが慣れ親しんでいる欧米的発想では計り知れない何かがあるのではないか。

もう一冊。「この国のかたち(司馬遼太郎著/文集文庫)」も良い本です。こちらは一冊というよりはシリーズになっていて、全部で6冊あります。司馬遼太郎による日本人論、または日本文化の成り立ちを色々な時代とトピックスを使って述べたエッセイ集です。この本ではどの時代の日本、日本人も興味深く読むことが出来ますので、ご興味のある方はどうぞ。
特に江戸時代、鎖国という典型的な保護主義の時代に日本が科学や思想などの点で世界でも頂点に位置付けられるほど発展したのは、いま世界中で起こりつつある保護主義や反グローバリズムにすり合わせてみても面白いものです。

この本では具体的なテーマの考察から最終的に日本人の「らしさ」のようなものがつかめるように思いました。ブランディングでの「らしさ」の把握同様、先ほどの菊と刀とはまた別のアプローチでそれらを理解できるようです。

私たちは日頃、自分がどういう存在であるかを別段、人に述べることはしません。私自身もそうです。しかしひとが一番興味を持つのは自分自身のことだというもの真実だと思います。世の中の変化が激しければ激しいほど、自分自身のあり方や価値観をあらためて見直すタイミングなのかもしれません。

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