ほとんどのマーケターは差別化をどうするかで悩んでいます。

配信日:2016年09月14日

先週は(財)ブランド・マネージャー認定協会で“骨太ブランド講座”と題する、ちょっと変わった公開セミナーを行いました。特にテーマは決めておらず、その代わりに受講生がいま抱えている仕事の悩みを持ち込み、それを受講生全員で議論しアウトプットします。もちろん私はそのテーマを事前に事務局から聞いているので、それに関連するテーマについて講義した後、みんなで議論し学びを深めます。

今回の題材はヨーロッパの積み木ブランド。製品自体は木を一定の手のひらサイズの板状に切り出したものです。よく見ると他社と違いはあるものの、概ねコピー製品を作るのは難しくないものです。そしてブランドが成功するにつれてそのような製品がどんどん出てきており、商品力での差別化が難しくなっていました。つまり「機能的価値で差別化困難な時にはどうしたらよいか」というのが今回のセミナーのテーマでした。

この積み木ブランドに限らず、こんな話は日常的に見ることができます。ほとんどのマーケターは差別化をどうするかで悩んでいます。そのために今までにない機能を備えた新製品を開発するのですが、するとすぐに競合も同じような製品を投入してきて差別化が摩耗する。もちろん、そうならないように特許や戦略的ジレンマを用いるのですが、そうでもなければ「機能的価値での差別化」とは比較的短命なものだということに行きつきます。

さて、それで積み木ブランドですが、機能的価値での差別化が困難な時は、当然、「イメージでの差別化」を選択することになります。特にこのような場合、「本物」というイメージが最も適切な構築すべきイメージになります。

「本物」イメージは「実績」から生まれます。機能性や特徴がどうであれ、これまでそのブランドが培ってきた実績、評判をコミュニケーションの中心に置くのです。そのようなものがブランドの信頼を生み出し、ずば抜けているのならば「本物」イメージはおのずと宿ります。この積み木ブランドの場合は「こんなに他社に真似されています」という実績(事実)です。正直、真似されるというのは凄いことだと思いますし、同時にこれを広告でいうならば他社にとっても真似しづらいジレンマを生み出すことにもなります(戦略的ジレンマ)。

もう一つ、イメージでの差別化で抜けがちなことがあります。それは「ちゃんと違いを伝えているか」です。マーケターは頭では違いを理解していますが、それをちゃんと消費者に伝えるだけのクリエイティブを作っているか。または十分に伝わるだけのメディア戦略を持っているか。当たり前のことに聞こえますが、「ちゃんと伝えろ」は意外と出来ていないことが多いようです。

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