いま、ブランド・リニューアルが求められている。

配信日:2015年10月15日

今年はブランドのリニューアルに関する公開セミナーを何度もやっています。いま旬のテーマかもしれません。リニューアルとは既存ブランドの梃入れ、または一新のことです。直近に行った宣伝会議さんの公開セミナーでは名だたる会社さんばかり、実に30社ほどのマーケターが参加して好評でした。

いまリニューアルが注目されるのは「新ブランドの投資効率が悪い」「企業がそのコストを抱えるだけの余裕がなくなっている」からです。かつては(特に日本企業では)リニューアルよりも新ブランドの導入が好まれました。つまり「売上が悪いのはいまのブランド力に問題があるから新しいブランドを立ち上げよう」というシャッフル志向、または「新ブランド待望論」のようなものが幅を利かせていました。

現在でもそれはありますが、それで成功するほど簡単でないことも痛い経験として知るようになりました。同時に新ブランドを導入するコストと労力(投資)をあまりかけられないという現実が大きな問題になったことで、新ブランドよりも既存ブランドの梃入れのほうがより安全(確実)に売上につながると判断をする企業が多くなっているようです。

これは一理あって、消費者の感覚にもピタッとはまります。そもそも消費者は「馴染みのあるもの」のほうが買いやすく、それで何の問題もないと思っています。よって馴染みのある既存ブランドをベースにリニューアル(またはバージョンアップ)を行うほうが導入コストも安く、比較的短期間に投資の回収も出来るわけです。

リニューアルのベースになるのは消費者が抱くブランド・イメージです。消費者は生活の中でブランドと様々なタッチポイントを持ち、その都度、ブランド体験を蓄積します。それがブランドになんらかのレッテルを貼る(イメージを持つ)結果になります。

良いイメージもあれば、悪いイメージもあるかもしれません。おそらく売れなくなっているのはイメージに問題があります。例えば「ブランドが古臭い」「昔から変わらない」などはその代表的なものです。これらは往々にしてブランドのリファイン(時代に合わせて微調整する)を怠ってきた結果による経年劣化と言って良く、市場環境のせいには出来ません。

しかしそのブランドは当然、高いブランド認知を持ち、イメージ総量も決して少なくなく、ロイヤルユーザーもいるので、何らかの方法によってイメージを一新して売上を回復させようと考えるのがリニューアルです。よってリニューアルは必ずしも製品戦略の変更だけにとどまらず、マーケティングミックス全体(特にコミュニケーション戦略)の見直しも含まれます。

それによってブランドは消費者から、好ましい新たなレッテルを貼られ、これまで以上に愛される(買ってもらえる)ブランドに進化成長します。つまりリニューアルとはブランドと消費者の関係性を一新する戦略であって、まるで人間関係の改善にも似た作戦行動なのです。

公開セミナーに限らず、現在、このようなリニューアルの案件もいくつか抱えています。それぞれのクライアントさんではそれぞれの戦略を持ち、リニューアルのポイントもそれぞれ違います。しかしどの案件も単なる「製品のお化粧直し」に留まらず、消費者とブランドの新しい関係性を築くことを目的にしています。そのような話も時期が来たら一冊の本にまとめ発表したいと思います。

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