配信日:2015年5月27日
ビジネスを立ち上げる時の最重要ポイントは「事業戦略」や「マーケティング」ではありません。本当に大事なのは「本当にやりたいと思えることを始めること」です。左脳的にロジカルな発想で将来を描くよりも、右脳的で感情的な気持ちを持って本当にやりたいことに思いを巡らすのが大事です。
これを「魂を込める」と呼んでもいいし「モチベーション」と言っても良いでしょう。本当にうまくいくビジネスは「儲かるか儲からないか」ではなく「自分が命を懸けて取り組めるかどうか」にあります。本当に好きなことや、やりたいことでなければ仕事を継続するのは難しいものです。成功はなおさらです。マーケティング・ミックスの5番目の「P」という言い方でもかまいません。Product、Price、Place、Promotionに続く、Passion(情熱)のことです。この最後のPがなければその他の4Pは機能しません。
また「顧客を喜ばせるか、喜ばせ損じるか」も極めて大事です。「顧客への愛はあるのか」という問いに近いかもしれません。当たり前のことのように聞こえますが、新規事業の開発や立ち上げをセッションでやっていて、往々にして忘れられがちなのがここです。私たちが本当に向き合いたい顧客は誰か。なぜその顧客なのか。
一緒にやる仲間もまた同じです。そのビジネスがあまり好きでないのに「損得」で参画した人は、ちょっとうまく行かないことがあるとすぐに離れていきます。しかしその商品なりサービスなりを愛している人はちょっとのことでは諦めず、工夫してビジネスを継続しようとします。
ビジネスを立ち上げる時、私たちは分析的なアプローチで市場を俯瞰します。それはそれでいいのですが、要はビジネスそのものを「自分ごと」に出来ているかどうかが成功のコツです。また自分ごと化している仲間と一緒に頭をひねるのが大事だと思います。
理屈を超えた感情のなかでも一番大事なのは「こんな商品やサービスで私は誰々を喜ばせたい」というものではないかと思います。多くの場合「このビジネスで儲けられるか」と考えがちですが、それだと最初からボタンの掛け違いが起こります。儲けというのは結果であって、儲けだけ考えて儲けられるものではありません。結果の儲けを考えるのではなく、原因となる顧客満足(顧客の喜び)に思い巡らすほうが、結果的にお金になります。
そして喜ばせるために何が必要なのかが具体的なビジネスの方法論や、製品スペック、サービスへのこだわりであり、そのような発想から本当のクリエイティビティが生まれるのです。