配信日:2015年3月06日
2月に発売された私の新刊「5年以内にコンサルタントで独立して成功する法(同文館出版)」にいろいろな方から、早くも感想を頂いており、大変ありがたいことです。
この本は、結果として私の「サラリーマン時代の回顧録」のようになってしまいました。AGFでの新入社員時代からハーシージャパンでのマーケティング・ディレクター時代までを振り返りながら、サラリーマンがコンサル独立するまでの軌跡を示しています。特に大阪で営業マンをやっていた時の「スキーツアーのバイヤー」の話は、感想をくださる方々が共感してくれた話です。
『当時、あるスーパーのバイヤーが本当に苦手でした。いわゆる「新人いじめ」をするのです。そんなバイヤーからある時、声をかけられました。「今度、スキーツアーにみんな(メーカー各社のセールス)と行くが、AGF(私)もどうや?」正直、絶対に行きたくないと思っていましたが、口では真逆のことを言っていました。「是非、参加させてください」営業マンの仕事にはこういうこともあると思っていたのです。(以下略)』
私はこの苦手なバイヤーを克服しようと頑張っていました。嫌なスキーツアーに参加したのもそのためでした。しかしその程度のことでは、何も変化を起こすことが出来ず、白旗をあげたその時に、あるひとに助けられたのでした。私の努力とは別の力が働き、バイヤーとの関係性が良くなっていったのです。その話を思い出すと「解決不能な問題とはこのように解決されるのか」といまでもしみじみ思います。
20数年後、コンサルタントになってから、ある食品会社さんの社内営業セミナーで、この話を紹介しました。するとセミナー終了後に、私と同じ年代の営業マネージャーが声をかけてくれました。「先ほどの話、とても共感しました。ところであの話は○○ストアのバイヤーではありませんか?」私は大変驚きました。その通りでした。「実は、私もちょうど同じころ、大阪で営業をしていて、あのバイヤーには苦労していました」と打ち明けてくださいました。
私たちはお互いに、とても強い仲間意識のようなものを感じました。もちろん、いまではバイヤーへの恨み辛みもなく、ただただ「若い頃の思い出話」なのですが、それでも同じような体験を同じ時代にしていた人に会えたことが、愉快で楽しかったのです。
また昔話をしながら、お互いに「よくこれまで仕事をしてこれましたね」と、たたえ合いました。まるで戦友と話すような気分でした。
コンサルタントというのは「自分の経験」を話すのも仕事なのだと思います。それも成功談や実績を話すよりも、苦しかった経験や挫折、人生での葛藤や失敗を話すほうが人は聞いてくださいます。本やセミナーも同じで、そのような経験をシェアすることのほうが読者や受講者の得るものが大きくなるようです。