あらためてマーケティングについて

配信日:2015年01月14日

マーケティングで大事な視点とはなんでしょうか。特に実践的なマーケターが「常にこころがけること」または「矜持」と言っても良いものです。「実践的」という言葉は非常に大きなポイントだと思います。どこまでいっても議論を重ねるだけでは仮説に過ぎず、なかなか結果に結びつきにくいものですが、実践(行動)はそのまま結果として現れます。

私は3つの「矜持」があると思います。一つ目は「お客様の立場をどれだけ貫けるか」です。「なにをキレイごとを」と思われるかもしれませんが、数十年、マーケティングの現場にいて思うのは、やはりこれです。単純な話ですが「きく」というのは非常にマーケティング的な態度です。お客さんの悩みを「聞く」。さらにお客さんに「訊き」、解決策として商品やサービスの提案をする。使ってもらい、その評価を「聴く」。

良くあるのは次のパターンです。「こんな商品を売りたい。売り方はこうで価格はこうで・・」これはこれで良いのですが、これだと多くの場合、「その商品の顧客を見つけるのが難しい」という局面に出くわします。何が悪いのかと言うと、目の前のお客さんを見ずに「想定顧客」を妄想していることが問題です。商品やサービスを考える前に(製品開発の前に)、お客さんの話を聞く、つまりマーケティングを先に始めるのです。

二つ目は「イノベーション」です。つまり「他では真似できないこと」を実現することです。こちらも大事なのは「実現すること」の部分です。アイデアを出すだけなら子供が一番です。子供は何の先入観もなく新しいコンセプトやアイデアを出します。もうびっくりするくらいです。しかし実際にモノとして作れなければ、それは「絵に描いた餅」。

セブンイレブンの自社開発商品を見ているとイノベーションがどういうことか、現実的に、かつ具体的に分かります。例えばセブンカフェ。誰でも「一杯ずつその場で挽いて、その場でドリップするコーヒー」が一番旨いのは良く分かっていたと思います。しかしそれを実現するのは難しかった。多くはここで「それは現実的じゃない」「夢物語だ」と言って諦めたことでしょう。しかしそのような不可能を可能にしてしまったのがセブンカフェですね。ここでは書けませんが、あのマシンの中身は凄いことになっています。イノベーションとはこういうことかという衝撃があります。

三つ目は「実証主義」です。実際に売りながら戦略の有効性なり商品力なりを検証することです。市場調査は多くの情報を得ることが出来ますし、その価値を蔑むものではありませんが、公平に言ってやはり仮説の域の話です。「実際に売れたかどうか」の情報はそれ以上の価値があります。いろいろな成功の指標はあるものの、一番説得力があるのはやはり「売上」です。どのような施策を行ったらどんな結果になったかの因果関係を捉え、それを大きく横展開していく姿勢。これこそ実践的な姿勢だと思います。

実証主義であるには、やはり実践が大事です。ここがコンサルタントも含めてマーケターの一番の課題だと思っています。社内には「やれない理由」がたくさんあります。または「それはもうやった」という過去の悪しき学習もあるものです。本当のところ、もうやったというほどやれていないこともあるし、やりかたがまずかったこともあるでしょう。また、やった当時と今とで環境が変わっていることもあります。やらない理由や理屈ばかりいう人は社内に必ずいるし、こんな言葉を聞くといつもうんざりする人も多いと思います。しかし、これからも実践を心がけたいものだと思います。

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