配信日:2014年1月20日
いままでいくつものブランド・プランを作ってきました。多くの場合、それは「いかにブランドになるか」を扱うものでした。つまり「出来ていない自分」をいかに「ブランド」にするかがテーマです。これは別段、おかしな話ではありません。
多くの会社は、そのようにして自分の問題を改善することで目標を達成しようとします。個人も同じですね。学生時代を思い出すと、不得意な科目をいかに克服するかが大切なことだと教えられてきました。
私もそのようにして過ごしてきましたし、社会に出てからも、同じように業務の問題点を見つけて、それを改善することが仕事でした。特に仕事を覚え始めた20代の頃は、そのような訓練を受けてきました。
どのような会社にも必ず独自の価値があります。価値とはお金を払うに足る何かです。お客さんはそこを評価します。しかし、興味深いのは自分たちの独自性に対して、正当な評価をしている会社は非常に少ないということです。その結果、出来ていない自分たちを前提に、それを鍛えなおし「ブランド」という望ましいゴールを想像するのです。これは私たちが学生の頃から20代の仕事を通じて覚えたアプローチと同じものです。
時には「それほど大問題でもない出来ていないこと」を敢えて強調して、それを解決する考えにも出会います。そのようなアプローチでも良いのですが、本当はもっと簡単なやり方(近道)があります。
それは「欠点を克服するよりも、得意なことや強みをもっと伸ばす」というもの。30代での管理職、そして独立して経営コンサルタントになり、いろいろな会社の幹部の人たちと仕事をするうちに、こちらのほうが簡単だと確信するようになりました。
会社の状況は、大きな流れの中で捉えたら上手くいっている。だったら、小さな出来ていないことには目をつむり、うまくいっていることをもっと増幅させようという発想です。
実はこちらのアプローチのほうが、ブランドを構築するには向いているように思います。仮に「出来ていないこと」が気になっても「それも含めて」自分たちを受け入れ、それを伸ばすこと。多くの経営者や成功者はそれをしてきました。それがブランドにより早く到達する近道です。
多くの人は「ブランドになるのは難しい」「一流になるのは難しい」「独自な価値を評価してもらうのは難しい」と考えるものですが、実際には「本当の自分」を否定し続けるほうが難しい。真の自分たちを受け入れてみてはどうか。
私たちの仕事は真であり善であり美であり、お客さんへの愛情であり理解者です。そして時には問題解決者であり教師です。その仕事の過程では、お客さんの援助者であり、慰め手、癒し手でもあります。私たちはそれぞれの分野で最も深い知恵であり偉大さそのものだと思うのです。これがお客さんにもたらされるもの、ブランド、つまり私たちの正体です。これをもっと伸ばしましょう。