一代で財をなす億万長者は、すべからく一度は破産する。

配信日:2013年8月19日

先日、士業のクライアントさんとパンフレットについて話しました。やがて自分のスキルで仕事をもっと取りたいと考えているその方は、日頃から努力を しています。前からパンフレットの話は出ていましたが、なかなか前進しませんでした。あるタイミングで「では一緒に作ってみようか」となりました。いくつ かのアドバイスをしながら、ページネーションを決めて、コンテンツも作っていきました。もう大丈夫だろうと思っていました。

しかし1ヶ月経っても、仕事は一向に進みませんでした。一体、何が問題なのか?話してもはっきりしません。「まだ温める」というばかり。

パンフレットを早く作りたいと言うものの、実際には作りたくない。この現実は一体、なんだろうか?人が行動を起こさない最大の理由は「行動するほど の価値はない」というもの。つまり信念のレベルで「本当にどうにかしなければ」と思っていないことが最大の理由です。しかしその方を見ていると信念が問題 なわけではなさそうです。「作るべきだ」という信念はあるのに、行動を起こさない。ここにパラドクスがあります。私はしばし、考えてしまいました。

しばらく考えて悟ったこと。
人は好きなものや夢を求めるがゆえに、それを失う恐れから、求めるものや夢に近づかない(無意識のうちに避けてしまう)選択をすることがあるのだなぁと思いました。

人が行動を起こさないのは、時として、面倒や、やり方がわからない、お金の問題などではありません。もし行動を起こしてしまったら、事が始まってし まう。その結果、上手く行かなかったら夢が潰えてしまうという恐怖。つまり「失敗するかもしれないという恐れ」、そのような恐怖心が行動を躊躇させる理由 ではないか。

それが自分にとって大事なプロジェクトであればあるほど、躊躇感が強くなるのかもしれません。真剣であればあるほど、そのままにしておきたいという保護心。そんなものが行動を起こせない理由ではないか。

逆に、では何を選択するのかというと「失っても痛くないもの」つまり「本当に欲しいわけではないもの」「夢ではないもの」を選択する傾向があるよう に思います。そのようなものを選択しておきながら、その忙しさにかまけて、なんとなく人生を過ごす。その一方で「いつかはこんな夢を叶えたい」と、本当に 欲しいものを夢見る・・・。

夢を夢であり続けるために、夢以外の現実を選ぶということか?
これはこれで、なかなかユニークな戦略かもしれませんが、本当に欲しいものはそこにあるのか?

これに対して、何かアドバイスをする術(すべ)を、私は持っていません。何かを実行するという決定がある一方で、何も実行しないという決定も、また 存在します。それはそれでその人の選択であって、私のような他人から非難されることでもなければ、やらないことが怠惰の烙印でもありません。

一方で、いろいろな人の話を聞くと、どんな成功者も「失敗せずに成功した」などということはないと言います。むしろ、成功者とは成功者であるがゆえに、今、この瞬間も失敗していることでしょう。例えば、こんな経験はないですか?

他人の目から見たら素晴らしい結果を出したにもかかわらず、そのお客さんから文句や苦情をもらったなど。これは成功者にありがちな失敗のパターンで す。公平に言って、本人にとって「失敗」だと認識されたものであって、他の人から見たら大した失敗などではありません。しかし本人は落ち込みます。

ここには、常に成功を求めるがゆえに、小さなクレームも失敗と捉えるこころがあります。これ自体が「これからもっと上手く行く、もっと成功する」というサインではないでしょうか?

そもそも失敗とは自分がそう思うから失敗なのであって、もっと広い視点で捉えてみれば、「失敗と思っていたことが、後々、ありがたい経験だった」と いうことは多いものではないでしょうか。歴史的に見て、一代で財をなす億万長者は、すべからく一度は破産するといいます。それは彼・彼女が成功以上に失敗 を重ねるからです。さて、失敗を重ね破産したその人物は「人生の敗者」でしょうか?その失敗は果たして失敗でしょうか?それとも成功へのプロセスでしょう か?

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