時間の余裕を持たずに旅程を組んだ自分を情けなく思いました。

配信日:2013年7月24日

世の中には素晴らしいサービスというものがあると、感激した話をシェアさせてください。

長崎のお客さんでの2日間集中ワークショップ。仕事が終わり、そのまま五島列島に足を伸ばすことにしました。ちょっとした離島での休暇です。五島列島は以前から一度、行ってみたいと思っていました。未開発の美とはまさしくこのことです。驚くほど美しい自然が手付かずのまま残っています。海の色は日本 とは思えないほどの青、山は夕日に映える広大な草原です。歴史的には南蛮文化や隠れキリシタンの文化を持ち、島の至るところに美しい天主堂が点在していま す。そして魚が美味い!南国の魚でこれほどうまいのは初めてでした。

さて、そんな島でしたので、東京に戻る便は夕方19時に福江空港を飛び立つものにしました。福江から福岡へ、そして福岡から羽田に向かうルートです。空港に着き、チェックインのためにANAのカウンターへ行きました。地上係員の方が言いました。

「ご搭乗いただく飛行機ですが、現在、遅れて福岡からこちらに向かっています。福岡空港が混雑していたために飛び立つのが遅れた模様です。そのた め、福江を飛び立つのが15分ほど遅れる予定です。そうしますと、福岡から羽田に向かう飛行機への搭乗時間が15分しかございません。ご予約のものはご搭 乗になれないかもしれません」

「では、その次の便に変更をお願いできますか?」私はたずねました。「大変、申し訳ありません。その次の便はすでに満席で、キャンセル待ちになります」そして、この便が今日の最終便になると告げられました。

困ったな。次の日は朝10時からセミナーが入っていました。もちろん私が講師を務める側です。数十人の受講者の方々に突然のキャンセルや遅刻は絶対に許されません。「どうしても今日、帰らなければならないのです。なんとかならないでしょうか?」

ハプニングを想定せず、時間の余裕を持たずに旅程を組んだ自分を情けなく思いました。地上係員の方は「申し訳ございません」を繰り返しながら、他の 手を探してくれましたが、次の朝の便も11時ごろまで予約は満席。どうしようもありません。「仕方ない。最悪、今晩は博多に泊まって、明日の朝、6時25 分の博多発の新幹線に乗れば、9時16分には東京駅に着く。そこからセミナー会場に直行すれば、なんとか10時には間に合う・・・」そんなことを考えなが ら、私は深刻な顔のまま、予定通り15分遅れで福江空港を飛び立ちました。

福岡に着くと、私はそわそわしながら真っ先に出口に立ちました。驚いたことに、CAさんも私の事情を知っていてくれたようでした。そして言いまし た。「お客様のことは地上係員から伺っています。ハラハラさせて申し訳ありませんでした。すぐにお開けしますね。バスをご用意しましたので、それで次の便 の搭乗口までお送りします」

私は驚きました。バスを用意してくれたのか。CAさんが天使に見えました。タラップを降りると、そこには私だけのためにバスが到着していて、スタッ フの方に呼ばれました。「こちらです。もう大丈夫です」私はバスに駆け込み、羽田行きの便の搭乗口まで5分ほどで到着し、そして・・・その日のうちに羽田 に帰ることが出来ました。

ANAのスタッフの方々の素晴らしいチームプレイでした。私の中で、感謝と共に「最高のサービスとはなにか」を体験する機会でした。そしてこれは、福江空港のANAのカウンターにいる地上係員、小原さんがすべて計らってくださっていました。

非常に短い時間のなかで、お客様(この場合は私)の悩みを自分の悩みとして共有し、なんとしてでも解決して差し上げる。愛想の良さや気配り以上に、お客さ んの痛みを自分の痛みとして対処する。小原さんからコンサルタントとしてのサービスのあり方を学ばせて頂いた気分です。そして小原さんのお陰で、私の中で五島列島の思い出は更に素晴らしいものとなったのです。

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