最近、私は自分の才能のひとつに

配信日:2013年7月16日

世の中には秀逸な営業マンがいるもので、どんな困難な商品も見事に売りさばいてしまいます。ある宝石商の話。その宝石商は親しい友人の葬儀に出ました。突然、訃報を聞いたのです。
友人はお金持ちの上得意でした。故人の跡継ぎ息子に呼ばれました。「突然のことで、本当にどうしてよいか。特に財産分与をこれからどうしたら良いかと悩んでいます。どのように分けるのが良いのでしょう?」
宝石商は言いました。

「私は法律の専門家ではありません。しかし、ここにいらっしゃる方々を拝見して、誰にどの宝石が似合うかはわかります。どうでしょう、このお金をすべて宝石に変えられて財産分けをされては?」

いろんな意味で、笑ってしまうような営業トークですが、なかなかウェットに富んだ営業マンだと思いませんか?確かにそういう解決方法もあると思わせます。

カツラを売る話。
ある床屋でのこと。年配の男性客(頭が薄いのです)の髪の毛をカットして、そろそろ仕上がるという時に、床屋の亭主はその客の頭にいきなりカツラを乗せました。

「なんだよ、なにするんだよ」とちょっとだけ抵抗するお客さん。「いいじゃないですか、別に売ろうというわけじゃない。ちょっと雰囲気が変わるかもしれないと思って、見ていて下さい」そうしてカツラを頭になじませ、キレイな自然なヘアスタイルにセットしてあげる。「ねぇ、昔はこうだったでしょ?結構、モテたんじゃないですか?」などと話す。

3分もそんな会話をして、鏡に映る自分を見て、やがてお客さんがうっとりしはじめました。そのタイミングで、いきなりカツラをポンっと外すのです。するとお客さんは現実に引き戻され・・・そしてカツラが一つ、売れる。

この話は単なる笑い話ではなくて、あるカツラメーカーで本当にやっている営業トークだそうです。化粧雑貨を開発する友人から聞きました。

なぜ、デキる営業マンはこうしてモノを売ってしまうのか?商品の良し悪しや営業トーク以前にコツがありそうです。答えは「ふとるがかち」。

この言葉、ご存知でしょうか?消費者の潜在的なニーズ、未充足のニーズを引き出すコンセプトです。誤解のないよう、「太るが勝ち」ではなく「不取るが価値」です。消費者の抱える「不便」「不満」「不十分」。このようなものを取り除くことに価値があるわけです。決して新しい理論などではありません。基本に忠実な、同時に普遍的なアプローチだと思います。

宝石商は「財産分与」という自分の商売とは一見関係ないように見える「不」を取り除く方法を、自分のビジネスに結びつけて話しました。床屋に至っては、わざわざ「不」を作り出し、モノを売りました。どちらも「不」を取り除くことでお客さんにアプローチする方法ですね。

お客さんの不は何か?消費者は充分に満たされていて、不などないように見えますが本当にそうでしょうか?高額商品には高額商品なりの不があり、低価格商品には低価格商品なりの不がある。別の視点ではお客様ひとりひとりの生活には、必ず不があるし、それが常に生まれる可能性があります。デキる営業マンは、それを見抜くことが物凄くうまいに違いありません。

年別バックナンバー

資料請求・ご相談はこちら ▶

bmwin

『ブランド戦略をゼロベースで見直す!』
ご相談、お問い合わせはこちらから▶