ある時、事故にあい、選手生命を絶たれました。

配信日:2013年7月1日

つい1ヶ月ほど前、メンターの阪本啓一先生に率直な質問をしたことがあります。「最近、ビジネスとスピリチュアルな分野が急激に交わってきているように思いますが、どうお考えですか?」

こんなふうに感じていらっしゃる方も多いのではないかと思います。特に3・11以降、日本人は変わったといわれてきました。そこでのキーワードは絆やつながりだと言われ、こころの時代と言われるようになりました。そのようなことが、ビジネス社会での風潮としても広まってきている感があります。こころがキーワード。それを私はスピリチュアルという言葉で言いました。

阪本先生は次のように教えてくれました。「まったくその通りだと思う。ビジネスはDoing(何をやるか)を問題にしているが、スピリチュアルはおそらく、Being(どういうあり方をするか)を問題にしている。今の時代はBeingがダメだとDoingもうまくいかなくなっているのではないかな?ここが、ビジネスとスピリチュアルが融合しつつある現状なのだね」

私は唸りました。ストンと腹に落ちたのです。お客さんは自分のメリットを考えてモノを買う前に、そのお店なり企業なりが「どんなあり方をしているか」を見ているのです。このDoingとBeingの話はよくブランディングでも話します。何をやるかを扱うのはマーケティングの分野、どのような自分たちでいるかはブランディングの分野です。

だからと言って、Doingを軽く見るわけではありません。Beingだけやっていれば、すべてが好転していくというわけではない。だから過度にこころを強調したり、それを意識的に優先順位にするのも違うと思います。そのようなことを過度に意識すると、例えば「豊かさ」や「儲け」という言葉に嫌悪感を覚えるようになってしまいかねないし、本当はそれが好きな自分を否定してしまうことにも繋がると思うのです。

何も、極端から極端に走る必要はない。何事もバランスが必要で、スピリチュアルなことであろうと、戦略的な作戦行動であろうと、自分の信じたことを真面目に、愚直にやっていくことが大切だと思うのです。

あるゴルフのインストラクターさんの話。彼女はフィットネスクラブでゴルフ・インストラクターとして働いていました。しかし仕事はいまいち振るいませんでした。フィットネスのお客さんは多いですが、ゴルフのインストラクションを求めるのは一日一人。そこで相談にいらっしゃいました。

聞けば、元々ゴルフの選手です。実業団にいた経験もある。そして「ゴルフという洋式スポーツに日本人の骨格は合わない」と悟り、日本人に合ったスイングを独自に開発。しかしある時、事故にあい、選手生命を絶たれました。彼女はもうクラブは握れないと理解し、インストラクターの道を選んだのです。

話を聞いて、私は言いました。「ゴルフ、もう嫌いなの?」
そう聞かれて、彼女は「嫌いではないけど・・・」と言葉を濁しました。そこで言いました。「稼げない人の特徴を知っていますか?」

稼げない人の特徴。それは「行動していない」です。いつも待ちの姿勢でヒマそうにしている。彼女もそうでした。「ゴルフのインストラクターを求める人は、やはりゴルフ場にいますよ。フィットネスクラブでのお客さんは幻想の如きです。本当はゴルフが好きなんだから、もう一度、ゴルフ場でクラブを握ってみませんか?ゴルフ場で行動してみましょう。きっと新しい出会いやチャンスがありますよ」そしてDoingのアドバイスをしました。彼女は実に着実に、スピード感をもって一生懸命に取り組みました。フィットネスクラブでの「待ち営業」を止め、行動をはじめたのです。

彼女は地元のゴルフ場でキャディの仕事を始めました。そしてお客さんと一緒にコースを回りながら、その都度、スイングについて簡単なアドバイスをするようにしました。時には「打って見せる(模擬)」こともありました。お客さんは驚きました。「何故、そんなに詳しいの?」そこで彼女は身分を明かすのです。

これが実質、インストラクター契約を売り込む営業活動になりました。キャディという「媒体」を使って、インストラクションをその場で体験してもらうのです。当たり前ですが、毎日出会うのは100%ゴルファーの方々でした。そして1ヶ月後。収入は過去最高のものになりました。

「本当はゴルファーなのだ」というBeingが、「キャディ型営業」というDoingにつながり、結果、インストラクターの仕事が繁盛していきました。これもまた、典型的なBeingを前提としたDoingの成功事例だと思います。

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