彼らを見ていて、私はひとつの言葉を思い出しました。

配信日:2013年4月10日<

ある経済団体さんでブランディング・プロジェクトが始まりました。ここは60年の歴史がある非営利団体です。最近では経済団体に加盟する企業も少なくなりつつあり、その巻き返しと若返りを狙ってのブランディングです。

そしてキックオフ当日。私はびっくりしました。予定では6人ほどの幹部の方々を対象にセッションを行うはずでしたが、ふたを開けたら50人近くの若手経営者、女性経営者で会場が溢れていました。

もちろん、このなかに幹部の6人もいましたが、それ以上に「幹部がブランディングを開始する」という話を聞きつけて、「是非、勉強したい」「一体、どんなやり方をするのか」と興味を持った加盟企業の経営者が集まっていたのです。

セッションはいきなり公開セミナーを兼ねたものになりました(笑)。私はいまさらながら、ブランディングへの高い関心と経営者の「自社にも取り入れたい」という情熱を感じました。そして「真剣な経営者ほど動きが早い」と、あらためて思いました。

中小企業の経営者といえば、「ブランドなんて自分とは関係ない」と思っている人が圧倒的に多いのですが、今回、つめかけてくれた彼らの意識はまったく反対でした。彼らが明確に理解していたのは「ブランド力があれば、ビジネスをしていくために必要なもの、例えば人材、資金、情報、人脈、紹介、パートナー、チャンス、そして売上などが向こうから自然と集まってくる」ことを知っていることでした。

逆にブランドがないと、それら必要なものを「こちらから取りに行かねばならない」。時にはそれが経営者の主な仕事になってしまうこともあります。それはそれで間違ってはいないのですが、必ずしも賢い経営ではないと理解しているようでした。つまりブランドとは自分とは関係のない話ではなく、賢い経営の生命線だと理解していました。

これはまっとうな発想だと思います。どんな経営も決して簡単ではないですし、努力を軽視する話でもないのです。しかし、より賢く経営するために「外部からの惹きを強くするように自社の価値を蓄積する=ブランド力を高める」ことを念頭に日々の経営をするという発想です。

セッションが終わった後、みなさんと食事をしました。ビールを飲みながら談笑しているうちに、そこでも面白い傾向があることに気付きました。「打ち出し方」が巧い(うまい)会社が多いことです。例えば、製造業であれば、試作品を一日で作る「試作品特急サービス」や「部品の一点物だけに特化」、または映像制作会社なのに「自主CM研究会」という切り口など。クオリティを愚直に訴求するのではなく、打ち出し方が巧いのです。つまりは買い場発想とか、買い手発想で、お客さんの興味関心があることをサービスのコンセプト、またはネーミングそのものにしているのです。

そういう発想ができる人たちだからこそ、ブランディングにも興味があり50人もつめかけてくれたのでしょう。この人達は間違いなく、この経済団体の将来を担うコア・メンバーだと思いました。ブランディングの視点ではタッチポイントを作る人達です。

もう一つ。彼らを見ていて、私はひとつの言葉を思い出しました。それはWhy Wait? というものです。「何故、待つのか?(いますぐやろうよ)」。興味がありすぐにでも取り入れられることなら、押しかけてでもセッションに参加するというポジティブな態度。正直、多くの会社は待つことが習慣になってしまっていることも少なくありません。

特にビジネスの世界で、または学ぶということに関して、待つことが習慣になってはダメですね。新しいことに挑戦するとか、そういう理念的な話ではなく、もっと日常的な話としてWhy Wait? であり続けることが、小さくても常に勝ち残っていく経営のコツではないかと、あらためて思いました。

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