私は、本当は花屋をやりたかった。

配信日:2013年3月18日

先日、ある化粧品会社のオーナー社長さんから連絡をもらいました。
6年ほど前にコンサルティングを請け負った会社です。当時、「製品は素晴らしいのに、それを簡潔に、適切に説明することが難しく、ベテランの営業マンや販売員しか売ることが出来ない」という問題を抱えていらっしゃいました。専門的な製品やサービスにはつきものの課題です。

そこでコンシュマー・インサイトとベネフィットラダーの手法を使い、わずか数文字のキラーワードを作り上げ、店頭でPOPにして貼りだしてみました。売上は2ヶ月のうちに昨年対比で172%も伸びました。そこで、そのキラーワードをすべての営業マン、販売員が商談のなかでも使うようにしました。それによって、昨日入ったばかりの新人でも売ることが出来るようになりました。

私にとっても、とても楽しいプロジェクトでした。成果を出せたのもそうですが、なによりプロジェクト・メンバーの方々とのセッションそのものが楽しかった記憶です。やはり、コンサルティングとは楽しいものでなければならないと思います。楽しいから良いキラーワードが生まれ、楽しいからそれを使ってみようという気になり、楽しいからお客さんも買ってみようと思ってくださいます。楽しさは伝染するのですね。これが苦痛のコンサルティングだったら、逆のことが起こるかもしれません。恐ろしい・・・。

さて、先日。社長から連絡がありました。「化粧品のことで一度、また相談に乗ってくれないか?」こういうお話は本当に嬉しいものです。私は6年前のプロジェクトに思いを馳せながら、早速、会社に伺いました。

会社に伺って驚きました。自社ビル1階のオフィス・スペースが花屋になっていたのです。以前は事務所だったのです。営業マンやスタッフが忙しそうに働く場所でした。それが瀟洒(しょうしゃ)な花屋さんになっていたのです。「あれ、賃貸業でも始められたのかな」と思いました。

しかし、久しぶりに社長に会って6年前の記憶が蘇りました。当時、一緒にビールを飲みながら、「私は、本当は花屋をやりたいんだ」と話していらっしゃったことを思い出したのです。

「本当に花屋を始めたのですね」というと、社長は照れながら「まだ小さな商売です。僕の趣味みたいなものですよ」と笑って話してくれました。

私は純粋に凄いと思いました。なによりも夢を実現してしまったことが凄いと思います。人によっては「お金があるから出来たんだ」と言うかもしれませんが、お金があってもやらない人のほうが圧倒的に多いように思います。むしろお金があるから「花屋はいいや」となる可能性が高いのではないかと思うのです。

夢を叶えるとはどういうことかを学びました。要は「言い訳をしない。行動をする」ことかもしれません。お金がないから出来ないとか、忙しいから出来ないとか、自信がないから出来ないとか言わない。これを世界3大言い訳と勝手に呼んでいます。単純に「やりたいからやる」という自分に、どこまで真摯でいられるかの問題かもしれません。

ミーティングが終わり、若い営業マンの方が花屋を案内してくれました。そこには世界中からの花、観葉植物が非常に手頃な価格で売られていました。花屋なのに、店内にいるだけで世界旅行をしている気分になれます。すべてのPOPはその植物が生息する国の国旗になっています。そして花の名前がまた素晴らしい。「ソング・オブ・ジャマイカ」なんて商品は、それだけで世界観を感じさせますし、楽しい気分になれます。

営業マンの方がおっしゃいました。「ある日、突然でした。明日から花屋をやるから、ここの事務所は閉鎖する。君たちは他に移ってくれと言われました。出て行けといわれれば仕方ないのですが、このフラワーショップは僕も大好きです」

なるほど、夢を叶えるというのは行動力もそうですが、他人にも支持される要素を含んでいるのですね。

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