私も臆病だと告白しなければならない

配信日:2013年2月25日

先日の「第10回ブランドまつり」は17名の方が参加してくださいました。常連の方が多く満席です。今回のテーマは「複業・独立」について。「副業(サイド・ビジネス)」ではなく「複業(マルチ・キャリア)」です。講義の最初に、ある会社員の方の話を紹介しました。

その方は会社勤めをしながら、ご自身の専門分野で複業を始め、ゆくゆくは独立をしようと考えていると言われました。また会社は複業(副業)を認めているとのこと。しかし、次のようにおっしゃりました。「会社には複業したいと伝えましたが、複業で収入を得てはいけないと言われました。どうしたら良いでしょうか」

私は意味がわかりませんでした。複業するのに収入を得てはいけない。それは複業といえるのだろうか?あるいは、複業を認めていると言えるのか?しかし、ここで複業の定義を云々しても始まりません。そこで次のように言いました。

「お話を伺うと、本当に独立したいと思っているのかと疑ってしまいます。もし思っているのなら、何故、複業すると、会社にことわりを入れるのですか?何故、黙ってやらないのですか?それをしておかないと、複業で収入を得たことが会社に知れた時に、例えばクビになるだとか、罰則があるだとか、そういうことを懸念したのではないですか?仮にクビになるとしても、それは遅かれ早かれ、独立するのであれば同じことではないですか。会社にことわりを入れるのは、一見、あなたの誠実さに見えますが、本当はクビになりたくない(会社員を続けたい)という無意識の行動ではないのですか?」

彼の気持ちもわかりますから、厳しいことを言ってしまったと、私も次の瞬間に反省しました。しかし、もし本当に独立するのならば、ここは本音レベルで自分なりの見解を出さねばならないと思うのです。「会社員を続けるのか、独立するのか」

ここには「恐れ」があるのです。未知に対する恐れ。変化の先にはそれがあり、未知であることそのものが、変化を拒む原因です。たとえその先に、今以上の成功があるとしても、それを信じることの出来ない自分がいます。

私だってそうです。偉そうに書いていますが、臆病な自分をいかに克服するかで苦しんでいることは同じこと。私たちは相談する側か、相談される側かの「立場」が違うだけで、同じような問題を抱えながら生きているのです。

私のことを内省すると、今がどれほど厭(いや)でも、見えている現実のほうが未知なる将来よりも信じられるし、安心するのだろうと思います。人が何故、変化を拒むかというと、要は未知なるものは確信が持てないからなのでしょうね。

しかし一方で、自分自身に言い聞かせる言葉もあります。「未知でなかった将来はこれまでもなかった。かつて未知だった将来は、いまやすべて良い過去になっているではないか」そう考えると、少しは気が楽になります。そのような話も彼にはしました。

未知なる将来をどのように選択するか?
私は彼に、「これをやってくれないか」という他人の依頼にスピード感をもって応えることだとアドバイスしました。会社員であろうとなかろうと、独立したいという意思を持って過ごしていると、その分野で必ず誰かから「これをお願いするとしたら、できる?」というような相談を持ちかけられるようになります。これは独立の扉が開いている状態です。それに躊躇なくYESと言うこと。

どのような仕事であれ、独立開業(複業開始も含めて)というのは、そのようにして始まることが多いのではないかと思います。私がコンサルティングを開始したのもそうでした。そのようなチャンスを逃さないことが、未知なる将来への対処法ではないかと思います。

まさしくチャンスとは人が運んできてくれるもので、そのありがたさをじわっと感じつつ、一生懸命に取り組むことが、実質的に「未知なる将来」を「未知だった将来、つまり新しい現実」に変える方法だと思います。

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