リミティング・ビリーフとは何か?

配信日:2012年9月5日

昨日、汐留にある広告会社さんでの打ち合わせを終え、新橋駅に向かって歩いている時のこと。ある若い男性が声をかけてきました。「すみません、あの・・・」

あれ、誰だったかな?
汐留には電通さんやパナソニック電工さんもあります。ひょっとして以前一緒に仕事をした人に違いないと思い、必死で思い出そうと頑張りました。すると「実は今、個人キャンペーンをやっていまして、通りすがりの人たち100人と名刺交換をしています。もしよければ私を男と見込んで協力してもらえないですか?」

私は拍子抜けし、キャンペーンの趣旨に思わず笑ってしまいました。そして、もちろん名刺交換をしました。「会社からいわれたの?」と聞くと、まあそんな感じです、実は・・という具合に照れ笑いしていました。彼は不動産会社の営業マン。営業トレーニングの一環として「名刺交換100人斬り」をしていたわけです。

20年前。私もAGFに入ったばかりの頃、新人研修の一環で飛び込み営業をやったのを覚えています。1回目はコーヒーギフトのセールスとして東京・江戸川区を。2回目はブレンディ・ボトルコーヒーの新規店開拓として大阪・東大阪市を。どちらも通常よりも納入価格が高めの条件でした。

貴重な体験ではありました。研修では色々なトークを教えてもらいましたが、私の場合は「自分は新人でいままでセールスなんかやったことがない。だから頑張ってやっています」というのが「売り」でした。たいして売れたとは思えませんが、なんの経験もスキルもない新人ならではの商談トークだったし、それで買ってくれる優しい人達が江戸川にも東大阪にもいました。不動産会社の彼を見て、そんなことを思い出していました。20年前のことに、「そんな私からわざわざ高い価格で買ってくれて」と、じわっと感謝がこみ上げました。

いまや、この不動産会社の彼のような名刺交換100人斬りは、ちょっと落日の感もあるかもしれませんね。最近では不動産営業ももっぱらネットが中心になっているし、そもそも不動産販売に飛び込みセールスのようなやり方が効くとは思えません。しかし、もし彼が対人関係に苦手意識を持っているのならこれは良い荒療法に違いありません。

人間にはリミティング・ビリーフ(Limiting Belief)があります。直訳すると「これが限界だと信じ込んでいるもの」ですね。

リミティング・ビリーフがよくテーマとして使われるのは「お金」について。人は自分で決めた金額と同じだけの金額を稼ぐと言われています。顕在意識では自分の年収はもっと高くてしかるべきだと思っていても、潜在意識では今の金額が妥当だと思っている。その根底にあるのが「その金額が妥当だと信じるこころ」です。この信念(ビリーフ)があるがゆえに年収は今の金額で収まってしまう(限界を超えられない)わけです。

対人関係でもそうですね。
営業マンとしてやっていくには、どんなにネットの時代になろうと、どんな業種であろうと、やはり人に働きかけたり話しかけたりすることや、新しい人と出会うことに億劫がらないことが必要なのでしょう。もし「私は誰かに話しかけたり、新しい出会いが苦手だ」というビリーフがあるのであれば、それを変えなければならない。そのためには100人斬りをやって「意外と簡単に100人の名刺が集まったのだから、私は意外と得意かもしれない」というマインドの書き換えをする必要があるのでしょう。

あなたのリミティング・ビリーフは何でしょうか?
これを知るには次のカッコを埋めてみれば理解しやすいのです。

「私は◯◯に向いていない。なぜならば( )だから」

◯◯は、何か苦手なものを思い浮かべて下さい。例えば「営業」。そしてその理由を挙げてみるのです。例えば「知らない人と話すなんて緊張するから」など。そして自分がそう信じていることを誰か他の人に話してみると良いでしょう。この例でもそうですが、大抵は単なる思い込みであることが多い。他の人はきっと「緊張するのは普通のことじゃない?どんな営業マンだってそうだよ」とか、言ってくれるかもしれません。

「あ、そうなの?みんなそうだったの?」そう気づけば、自分が勝手に自分の限界を決めていたことがわかります。その時、リミティング・ビリーフは簡単に外れます。要は、自分の限界は自分が作り出しているのですね。

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