信じるこころとは?
配信日:2012年8月1日
今回はちょっとした寓話から始めましょう。
ある農村でのこと。
その村では日照りが続き、農民たちは困っていました。雨が降らないと作物がすべて枯れてしまう。そこで農民たちは村の牧師のところへ行きました。
「雨を降らせるにはどうしたらよいでしょう?」牧師は答えました。「雨が降ると信じることです」農民たちは信じることにしました。
それから何日も経ちました。しかし雨は一向に降りません。農民たちは再び牧師のところへ集まりました。「雨が降ることを信じて祈っていますが一向に雨は降りません。どうしたら良いでしょうか?」
牧師は言いました。「あなた方は本当に雨が降ると信じていますか?」「はい、信じています」「口で言っているだけではないのですか?」「いいえ、ちゃんと信じています」
そこで牧師は尋ねました。「では、何故、誰一人、傘を持っていないのですか?本当に雨が降ると信じているなら、何故、雨に備えないのですか?」(雨が降ると信じていないからだ)
いかがですか?
この話はある友人から聞いたものです。なぜこのような話をしてくれたかというと彼自身が自分のキャリアで悩んでいたからです。
現在、彼は36歳。大学を出て就職活動を始めるも就職氷河期の真っ只中で職はなく、佐川急便の配送センターでバイトを始めました。来る日も来る日も荷物を仕分けする毎日です。夜勤もありました。1日20時間働くこともしました。それでも生活は変わりません。
就職出来ないなら自分で起業するしかない。そう思いたち、佐川を辞めて27歳で田舎に帰ります。そして起業。職種はインターネット関連です。しかし十分なスキルもないまま、どんなに頑張っても稼ぐことが難しい状況でした。アフェリエイトで細々と稼ぐようになりましたが、月々の収入は微々たるものでした。
いまのままではいけない、次の人生を考えなければ。そう思いました。大学は法学部だったから行政書士の資格をとって食っていこう。しかし学校に通うお金もなく、テキストを買って勉強し始めました。主な収入はアフェリエイトとバイトです。そして受験。1年目、不合格。2年目、不合格。3年目、不合格。司法書士の資格にも挑戦しよう。1年目、不合格。2年目不合格・・・。
やはりちゃんと就職しよう。どんな職業でもいい。就職先は地元の普通の会社でした。社会保障などの心配がなくなりました。しかし仕事に馴染めず、待っていたのは部下であるはずのバイトからの冷ややかな目線と陰口でした。また給料も決して良いものではなかった・・・。
何をやってもうまくいかない。彼は立ち止まって考えてみました。「僕は本当に、本気でこれまで取り組んできただろうか?」「本当にやりたいことを選択してきただろうか?」「収入のために働いてきたのではないか?」・・・。
そして決心しました。「もう一度、ちゃんと立ち直る。本当にやりたいことを選ぶ」彼はもう一度、ちゃんと勉強することを決心しました。選んだ分野は整体師です。患者さんと話しながら苦しみを癒す仕事です。そのために6ヶ月の整体師学校に入学しました。技術の習得から開業方法まで学べる学校です。128万円の授業料を収めました。彼にとっては高額な出費でした。
そして、会社に辞表をだしました。彼は本気で自分を信じたわけです。そこで最初の寓話を聞かせてくれました。「僕はいままでいろいろやってきたけど、上手く行かなかった最大の原因は自分自身を信じていなかったからです。僕は自分の人生に自信が持てなかった。だから何もかも中途半端で場当たり的にやってきた。しかしそういう生き方はもう止めにすると決めたんです。本当に自分を信じられるなら行動でそれを示すはずだと思いました。そんな気づきをくれたのがこの寓話だったんですよ」
私は驚くと同時に感激しました。すごい。この友人はこれからも失敗するかもしれないけど、最後に笑うのは彼に違いない。そう思いました。
人間は「将来が明るい」と信じるものに投資する傾向があります。それは株でも土地でも同じこと。将来、株価が上がると信じるから投資をする(行動で示す)のです。
自己投資も同じではなでしょうか?自分の将来が明るいと思う人しか自分への投資はしない。信じるこころとはその人の行動に顕れるものなのです。