ブランドが立ち上がる瞬間の動画
配信日:2011年
先日、あるクライアントさんで新ブランドの受容性調査の読み合わせを行いました。具体的な話は出来ませんが、そのブランドは非常に新しいコンセプトのものでチームメンバーの誰もが良い結果になると期待をしていました。
しかし数字を見たら結果はイマイチ。特に購入意向の数字を見ると「非常に買いたい」が思ったより低かったのです。
メンバーの方々に言いました。「購入意向があまり高くなかった原因の一つは、このコンセプトが非常に新しいことを意味しているとも読めます。一般的に新しすぎるアイディアやコンセプトというのは往々にして評価されにくいものです。」
なぜなら「人間は保守的な生き物」だからです。今まで見たこともない新しいアイディアを前に消費者は慎重な決定・行動を示すことが多いものです。
今回はこんなテーマを中心にブランドが立ち上がる瞬間について考えてみましょう。まずはこちらの動画をご覧ください。非常に勉強になります。また新たにブランドを立ち上げていく様(さま)がよく分かります。(音量にご注意ください。)
http://www.youtube.com/watch?v=OVfSaoT9mEM
これは「日本が変わるスイッチが入っている映像」との題名からも、リーダーシップについて説明した動画ですが、私はブランドが立ち上がる瞬間を説明したものとして理解しました。
「新しすぎるコンセプトは評価されにくい」と言ったのは、まさしく動画のなかの「裸の男」に他ならないのです。最初は無視される。あるいはずっと無視されるかもしれない。それは単なるバカだと思われる可能性があるからです。
しかしやがて一人のフォロワー(顧客)が出来る。裸の男は彼を大事にする。すると今度はその顧客自身が別の顧客を生み出すようになる(評判)。やがて2人目、3人目のフォロワーがどんどん増え、臨界点を越すあたりからメジャーな存在になる。そしていまや裸の男(ブランド)はバカにされる存在ではなく、むしろ参加しない(そのブランドを持っていない)ほうが「遅れている・カッコ悪い」とみなされるようになる・・・。
実に勇気づけられる動画だと思いませんか?
ブランドとは最初は世の中からバカにされるくらいで丁度よいのです。つまりブランドとはそうしたもので、最初から世の中に広く受け入れられるものは「常識的なコンセプト」のものであることがほとんどではないでしょうか?
私の言い方では、誰かのマネをするのではなく初めて見るカテゴリーの最初のブランドであること。そしてバカにされる勇気があるかどうかを試されることとなります。
しかしそれだけでは必ずしも受け入れられるわけではないことも見て取れます。動画のなかでも「他の学園祭では同様のことをしても、まるっきり無視されたケースもある」というコメントもありました。バカなことがバカなまま終わるケースもある。そのブランドの価値を認めてくれる最初のフォロワーがいて初めて、ブランドはブランドとして立ち上がり始めます。
更にブランドを拡大するにはフォロワー(既存顧客)を大切に扱うことが重要になります。彼等はブランドのファンであり広告塔であり営業マンにほかなりません。企業は往々にして既存顧客のケアよりも新規顧客の獲得に力を入れがちですが、実は既存顧客のケアこそが新規顧客の獲得に繋がるのだということが見て取れます。
最後にこちらの動画をご覧ください。サンフレッチェ広島のユースによってサッカー国際大会の開会式で起きた異常な盛り上がり。非常に面白い動画です。また同様の現象が見て取れます。(音量にご注意ください。)
http://www.youtube.com/watch?v=2AiMjHJwjL8
こちらの動画からは、もう一つ大事なことを示唆してくれます。ブランドビジネスは自分も顧客も楽しんでやるものだということが分かりますね。楽しいからブランドは大きくなる。顧客も喜んでくれる。楽しくやりましょう。