悪い顧客の見分け方

配信日:2010年

先日、居酒屋で食事をした帰り、レジで会計をしていると中年の男性客がお店のスタッフに対していきなり大きな声を上げました。「この店は客にありがとうございますもいえないのか!」

私たちもお店のスタッフもびっくりしました。
一体、店にどんな不満があったのか、あるいはその男性客がどんな偉い人なのかは知りませんが、私たちにとって感じが悪かったことだけは確かです。そしてお店にしてみたら「イヤな客」であることは間違いなく、きっと塩でも撒きたい気分だったのではないでしょうか(笑)?

この男性客は「金を払ったんだから」という意識があるのでしょうが、一方で「食事を楽しんだ」ことも事実です。これはコインの裏と表のような関係で、お店に「ありがとう」を求める前に自分が「ありがとう」を言ってもバチは当たりません。

どんな業界にも「悪い顧客」はいます。たいていの悪い客というのは自分が客であることをあたかも「既得権」のように思っています。「金を払ってやるんだから徹底的に奉仕しろ」というマインド・セットがあり、実に不愉快な横柄さがあります。これはどこの業界でも同じじゃないでしょうか?そのような悩みをクライアントさんの営業の方などから受けるたびに「客だからといって何でもアリだとは考えない方が良いですよ」と、ごく当たり前のアドバイスをします。意外かもしれませんが、なんでもアリで対応しなければと考えている営業担当は少なくありません。

事実、まともな経営者はそのような「悪い客」に自分の部下が悩まされているのなら、取引を停止させる判断をすることが多いものです。そのような客は不要であるばかりか有害ですらあり、社員の精神的健康に悪影響を及ぼすからです。社員が幸せでなければ良いサービスなど出来るものではありません。

このような客とかかわらないためにはどうしたら良いでしょうか?
最も賢いのは「お客さんが接触してきた時点で判断してしまうこと」です。それができれば問題を事前に防ぐことが出来ます。

以前、語学学校のクライアントさんが集客で悩んでいました。悩みというのは「無料トライアル・レッスンを受けた人の入会率が低い」というものです。要は無料のレッスンだけが目的で、お金を払う気などない「トライアル・レッスン・キラー」に時間の多くを取られるというものです。まるでスーパーの試食ソーセージのようで、小腹を満たすためだけに食べて実際には買わないというものです。

そこで次のような手を打ちました。「トライアル・レッスンは有料ですが、本気で勉強したい人には絶対に役立つ内容です。満足出来なかったらトライアル・レッスン代は返金します」

このように打ち出されると無料に興味のある人は返金の手間や「不満でした」という心理的苦痛(誰でも人に苦言を呈するのは嫌なものです)から躊躇するものです。結果、「無料にだけ興味のある悪い顧客」を排除できたのみならず「本気の生徒(良い顧客)」のみを集客することに成功しました。

さらに生徒さんは本気の人ばかりなので入会後、一生懸命勉強します。するとみるみる語学が上達する。それが口コミを呼び更に本気の生徒さんを集客する・・・。このような良い循環を生み出すことにも成功しました。「悪い客」と付き合わないというのはこのような長期的な好循環を生み出す出発点でもあります。

一度、「自社(自分)にとっての悪い客とは?」を考えてみては如何でしょうか?同時に「良いお客様とは?」も整理すると良いと思います。そしてお客さんがコンタクトしてきた時にその判断基準としてはどうでしょうか?あるいはそのような内容を「会社方針」としてやんわりまとめ、HPや名刺の裏などに書いておくのも有効です。

マーケティングで教えられるターゲティングというのは、実は自分が快適に仕事をするための知恵でもあるようです。このようなことを教えてくれるテキストはあまりないと思いますが、これは私の経験からの実感に他なりません。

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