目標を目標で終わらさないために何が必要か
配信日:2010年
年末に恵比寿の有隣堂で正月に読む本を探していて「13の成功戦略(ジョン・マクスウェル著・渡邉美樹監訳/三笠書房)」を手に取りました。正月は誰でも新しい年の目標や希望について考えるので、その参考に読んでみることにしました。
結論から言うととても良い本でした。
まさしく「目標や希望を達成するにはどうしたらよいか」を書いた本でしたから興味のある方にはお勧めします。
ブランディングのなかでも「どうやって目標を達成するか」「どうやって望むようなブランド価値を築くか」という問題は日常的にあります。しかし世の中多くでは「単なる目標」で終ってしまうケースが多いのではないでしょうか。そこで目標を目標で終らせないためには何が必要かを考えてみましょう。
「13の成功戦略」では言葉は違えども、共通して出てくるキーワードがありました。それは「ビジョン・情熱・行動」ということ。これは昔から言われている普通のことに思えるかもしれませんが「何故、ここでもまた同じことが繰り返されるのか」を考えることにこそ意味があるように思いました。それは「普遍的なことだけど出来ていない人が多い」ということかもしれません。いや、これは私自身に対する警句でもあるのです。
私は目標を目標で終らせないために「口に出してみること」がまずは大事だと思います。
ブランディングでもそれは同じで、ブランド・ステートメントを作るのはその出発点に過ぎません。
聖書などでも「はじめに言葉ありき」といいますが、願望を現実化するためには「思考-言葉-行為」の3つをツールとして使うことが重要だと思います。つまり考えたことを口に出し(世の中に宣言し)、そのように振舞うこと。すると「振舞う」という行為を通じて、いつしか自分が「それらしくなる」というわけです。まるでデキる上司の真似をすることから本物のビジネスマンに自分自身が変わっていくのと同じことです。
ブランド・ステートメントを作ることも「思考-言葉-行為」を始めるためのきっかけです。全社員がブランドの「在りよう」を言葉で顧客に話し、それを日々の活動のなかで行為として体現していったら、もはやブランドでいないことのほうが難しくなるに違いありません。
私たちはこれまでの日々の活動のなかで、意識してこのようなことを行ってきたでしょうか?あるいは自分自身の人生戦略のなかではどうだったでしょうか?
ブランドとは日々、自分自身の行為を通じて自分がどのような存在であるかを定義し続けているようなものです。顧客に対してどのような存在であるのか、尊敬される存在か、その逆か?そのためにもどのようなブランドであるかを全社的に共有し、世の中や顧客に宣言し、そのような一貫性のなかで日々の活動を行うことが必要なのです。
また、目標を目標で終らせないためには「あまり追い求めない」ということも必要かもしれません。これは「13の成長戦略」とは相容れない考え方かもしれません。
なぜならば「追い求める」とは「まだそうなっていない」と自分自身のなかで宣言するのと同じであり、その思いのほうが現実化するように感じるからです。よって本当に必要なのは「追い求める」ことではなく「感謝」に他なりません。
「すでにそうなっている」ということを自分のなかで分かっていれば、おのずと感謝せずにはいられません。その感謝によって自分のなかでは「すでに目標が現実化しているのだ」という思いを強くすることになり、結果として目標や希望が現実化するようなのです。
そういう意味では目標をもつ(願う)とは感謝することに他ならないと思います。