人生が荒涼と見える時ほどこれが大事

配信日:2015年6月03日

毎日をなんとか生きるために生きているような感覚。ある程度の年齢の方なら、誰にでもある経験ではないかと思います。お金に追われ、支払いに追われ、毎日忙しくしているのに手元には残らず。または毎日が目的もなく「生きるためだけに」限界の生活を続けている。

私にもそんな時がありました。ちょうど震災から2013年にかけてのことです。震災の影響で仕事は本当に激減しました。多くの会社でプロジェクトは打ち切りになりました。文字通り「どうやってこれから生きていくのか」という、ブランド・コンサルタントらしくないことを考えながら生きていました。しかもそういう時に限って子供の志望校入学の学費などエクストラな出費が生まれるもので、本当に息をするのも大変な時期でした。

貯金を食いつぶしていく生活。まったくもって「毎日を生きるために生きている感覚」「お金のために生きているような感覚」でした。おそらくこの時期は世の中全体がそんな感覚だったのかなぁと思います。ある意味、みんなが震災の間接的被災者だったと思います。

毎日、予定のない手帳を見ながら思いました。「なんでもいいから仕事をくれ」。そんなことを考えれば考えるほど、仕事というのは遠のくもので「仕事を欲しがっている自分」が現実化するのみでした。

しかしいま思うと、この時期こそ本当にインプットが出来た時期だったと思います。ブランディングやビジネスの話ではなく「人生はどのように動くのか」「視点が認識を作るとはどういうことか」「思考、言葉、行動がもたらす現実とは何か」「豊かさや富とはどのようなしくみになっているのか」「豊かであるとはどういうことか」「成功とは何か」そして「幸せとは何か」について多くを学べた時期でした。

私はお金に苦労していましたが、本をむさぼり読みましたし、結構な高額セミナーにも無理をして参加しました。仕事もそうでした。クライアントさんのところに行く予定がない分、自分で出来る仕事(リカバリーのための時間的投資)をしました。具体的には本の執筆に尽力しました。

それから自分の行動を注意深く見て、他人の意見に耳を傾けるようになりました。うまく行かない原因は私自身のやり方、または行動量に問題があるとコンサルらしく考えていましたし、頂いたアドバイスはすべて実行しました。私は焦っていましたし、悲壮感も相当あったと思いますが「希望を持って行動する」ことだけは続けました。しかしなかなか成果は出ず、結局、会社の蓄えも個人的な貯金もほぼゼロになりました。文字通り「無一文」でした。どうやらあの時が、私の「地獄の一丁目」だったようです。「ここが地獄の一丁目か。ちゃんと見ておこう、もうこれ以上堕ちることはあり得ない」。

ある時、同業のコンサルタントが私のところに訪ねてきました。彼は独立した途端に震災が起こり、やはり仕事に困っていました。そして正直に言ってくれました。「何か仕事はないですか?」。このような世の中の状態で、同業者に何か仕事をくれというのは本当に勇気のいることだったと思います。私は、たまたま入ってきた一日だけのコンサルティング・セッションのアシスタントをしてくれないかと彼にお願いしました。そしてその売上(50万円)をそっくりそのまま彼に支払いました。

彼はとても感謝してくれて、何度も何度も御礼を言ってくれました。しかし本当に御礼を言うのは私のほうでした。無一文の状態で、本当なら自分が喉から手が出る程欲しかったお金を彼にそっくりそのまま渡したことで、私はそれまで感じたことのない程の「豊かさ」を実感することが出来ました。世の中が冷たく背を向け、人生が荒涼と見えていたちょうどその時に、彼は私の目の前に現れて、「豊かさ」というものを思い出させてくれたのです。

しばらく気分が良かったのを覚えています。不思議なもので、そんなことがあって以来、私の仕事もまた忙しい状態に戻りました。おそらく「豊かな私」を思い出したからです。しかも素晴らしいクライアントの方々ばかりが仕事の依頼をしてくれるようになりました。いまでもこの話をコンサルの彼とすることがあります。いつ話しても感謝で涙が出そうになります。

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