こちらが本気ならお客さんは応えてくれる

配信日:2012年5月30日

2009年から始めたパーソナル・ブランディングの個人向けセッション。今年の1月、企業ブランディングに特化するべく止めてしまいましたが、いまでも当時からご縁のあった方々、その方々からご紹介を頂いた人でセッションをご希望される場合は、喜んでお引き受けするようにしています。これまで50人ほどの個人クライアントさんが不定期で相談に来て下さいました。相談内容で一番多いのは「独立開業」、二番目に多いのはフリーランスとして「仕事の受注量を増やすこと」でした。

2009年に始めた頃は、実は企業ブランディングの考え方をそのまま個人にもあてはめるアプローチを採っていたのです。

現状整理、SWOT分析、課題抽出、セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング、目標と基本戦略、アクションプラン、スケジュール、チェックとフィードバック、ミッション・ステートメント、ブランド・ステートメント、ブランド・プロミス、リーズン・ホワイ、ブランド・キャラクター、ブランド・エッセンス・・・。しかしその頃にセッションを受けて頂いた方々は、結果としてあまり大きな成果を得ることはなかったようです。やがて私は、それが「絵に描いた餅」であることに気づきました。

その原因は単純で、クライアントさん個人の気持ちに、企業のように振る舞うことに違和感があったからです。「立派な行動計画はあるが、私には大層過ぎやしないか」という思いを持たれていた方が多かったと思います。結果、行動計画を作っても実施が継続しない。

私は反省しました。そして「行動を促すには信念を変える必要がある」というマーケティングの基本を思い出しました。

マーケティングでは顧客のマインドこそが主な関心ごとです。顧客のマインド(信念)がブランドに好意的で、買う必要なり欲求なりを感じた時に購買(行動)に移ります。よってマーケティングでは顧客に「これを買いなさい」と言ってもあまり効果はなく、その代わりに「これは良い物に違いない」と顧客に思ってもらう(新たな信念のインストール)にはどうしたら良いかを考えるのです。信念が変わると自ずと行動も変わるのです。

私は一切の「個人マーケティングプラン」を作るのを止め、その代わりにセッションではその人の「セルフ・イメージを高く保つこと」や「自信を持つこと」「本気で取り組む気持ちになってもらうこと」を中心にすることにしました。これを「こころのマネジメント(State Management)」といいます。

二足のわらじで独立開業した、あるクライアントさんのケース。その方は一週間に数日、派遣社員として働きながら、空いている曜日に自分の夢を仕事にしようとしていました。しかし独立開業したもののなかなか仕事はうまくいきませんでした。

本当は派遣の仕事などやりたくないのですが、生活のためにはしかたがないと考えていました。そのようにして時間が過ぎて行きました。

気づくと、いつの間にか派遣の仕事がメインになっていました。自分の仕事は「片手間」。どうせ誰も相手にしてくれないからという言い訳(諦め?)がつきまとうようになっていました。そして「私は本当にこんなことで成功できるのだろうか」と日々、疑問が沸き上がってきたといいます。本当にこれが私の望むライフスタイルだろうか・・・。

ある時、派遣先との契約更新で言われます。「来月から週4日の仕事を2日に減らします」
突然でした。どんなに頑張っても今の状況では簡単に仕事なんてなくなってしまう。そう思いました。「ちゃんと自分の仕事で生きて行かなければ!」

本気になった瞬間でした。派遣の仕事が減ったことで時間が出来ました。自分の仕事を研究し、チラシを作り、ブログを書き、関連業種の情報を集め、時にはセミナーにも行き・・・。派遣契約の一件をきっかけに「本気」で取り組み始めました。

すると、すぐさま結果が出始めました。このように書くと結果論を綺麗にまとめているように思われるかもしれませんが、実際にすぐにお客さんが集まり始めました。そして、いまでもお客さんは集まり続けています。

一体、何がポイントだったのか?チラシなど販促も一部行いましたが、市場への浸透を考えたら大きな要因ではありませんでした。私は「本気になったこと」がポイントだったと思っています。まさしく「こころのマネジメント」が上手く機能したのではないか?これは精神論だと思うのですが、精神論だからといって切り捨てるのは短絡的だと思うのです。明らかに派遣中心だった頃とは様子が違うのです。

「毎日、わくわくしながら自分の仕事をしています。派遣の仕事は生活のためと言いながらやっていましたが、本当は自分のやりたかったことから無意識のうちに逃避していたかもしれません」

多分、世の中とはマーケティング以上に、売り手が本気かどうかを見るのではないかと思います。こちらが本気でサービスを提供しようと熱心に研究を始めた途端、お客さんは放っておくことができなくなるようなのです。信念が変わると行動が変わりますが、同時に周囲の見る目も変わるようですね。

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